日報

あるいは遺書

りゅう

奇跡の子

海と一緒に


目を閉じて


底に向かうために


逆さの風景を憶える


泡の呼吸をする


上下する


たましいの重さを手渡す


奇跡の子


青い破片


いちばん好きな場所を思い出して


君ならなんて言うだろう


その言葉の選び方


ふっと軽くなる


音符


分解され


知らない誰かの養分になる


地球と繋がるための歌


未来と過去が合わさる


静かに壊れる


いつまでも変わらない


渡り鳥を見上げる


約束を思い出す


街は呼吸する


感覚が裏返る


また君に会えたら


夕焼けの匂い


追いかけたい


まだ旅の途中だから


悲しみと慈しみを交互に


発音する


ゆるやかに流れる


誰にも止められない


影の中で祈る


あたたかな雫


モノクロの記憶


形のないものを分かち合う


雨が降ったら傘をさす


目的地があって帰る場所がある


眠る


花びらを集める


時間を戻すように


膜が震える


何かが始まる


当たり前が当り前じゃなくなる


いつか恋も終わる


左右対称の体


できるだけうまくバランスをとって


やさしさの手ざわりを忘れないで


もう何を言っても遅いのかもしれないけど


それでもわたしたちは生きていく