日報

あるいは遺書

りゅう

木々がざわざわするので

懐かしい心臓の鼓動


まだ生き物だった頃のこと


陰影の入り混じる部屋で


時間を止めることもできた


今こことリンクさせて


二重の歪みに沿って


追いかける


君の中の君に向かう


歌はどんな風に響いた?


モノクロの記憶をかき分け


風のように、虫のように


なぜ人を殺してはいけないのか考えた


夜がきて朝になることを当然とは思わない


教室の窓から身を乗り出して


あらゆるものの距離を尊重したい


ただ歩いているだけでこんなにも意味が溢れだす


交互に、左右対称に


形のないものを分け合えたら


もう人間をやめたい


宇宙の始まりなんて見たことも聞いたこともない


手を伸ばして


太陽の欠片に触れる


置き去りにした約束


安心と不安が交わる、背徳


何も無かったことになればいい


指先


天国に近づく


知らない


私は心を持っている


初夏


街は呼吸する


青さが膨らんだり萎んだりする


網膜で聴いたり、鼓膜で触る


そういうことが普通にできた


天井の向こうには逆さまの海があった


木々がざわざわするので


帰れなくなるまで遠くに行きたい


名前を呼ぶ


病室の花


夕日の色を纏った天使


何を恐れているの


最初から壊れていた


愛についてこれ以上説明しなくてもいい


適当に過ごせばいい


今が全て