日報

あるいは遺書

りゅう

あなたが生まれる前の話

不安定な灰色の口ずさむ唇は瑞々しい夢


子供だった頃のことを思い出さなくちゃ


大切なことを、大切なままにしておくために


動く、影がゆらめく街、水中、泳ぐ、きらりと反射する粒


渦を巻いて、抱いて


もうすぐ、こうする、きらきらと、きらきらと


読めないや


逆さまから宇宙を見降ろして


そんなところが本当にあったらいいね


不安定な、不可解な、振動に身を任せて


きんいろの風、ちいさな妖精、ゆらめく草の香り


雲はもう消え去った


辺りはもうしんと静か


ぼくはゆっくりと回転をする、ふわふわ


ちいさな、ちいさな、やくそくのひかり


春のそよぐ風のような言葉


無数の雨粒の波及していく模様をベランダから眺めている


ばらばらになるのが心地いい


色が膨らんでは弾けるような


巡る


一つ一つ見て回りたいと思う


できるだけ丁寧に


できるだけ静かな気持ちで


できるだけ淡い色で


できるだけ優しい音色で


待ってる?光ってる。


沿っていくことも、離れていくことも


1秒と1秒の狭間で、右足と左足のスピード


止められやしないんだ、眺める、渡り鳥の群れ


小さな確かめる、繋いだ手の温もり、確かめる、確かめる


空蝉の扉、心の祠


あなたが生まれる前の話だよ


つらつらと流れ出していく、廻るレコードのよう


教室の片隅で、児童相談所で、その陰影は、優しかったね


さりげなくそこにあって


風がさらっていったり、雲が溶けるまで公園でずっと眺めていたり


戻るように、祈るように


上手く伝えられないことがじんじんとする


ぼくはここに立っている


音楽が必要になったらまたここにきて


星の王子さまを探そう