日報

あるいは遺書

りゅう

ホットミルク

儚い花


誰かと話していたんだ


海に向かう二本の足


羽ばたいた蝶、光る


思考を停止し、また再生をする


想像をする


裸足で花びらを踏みしめて


悲しみには打ち勝たないでおこうと思った


窓を叩く淡く透明な無数の声


暗闇に両手を差し出す


目に見えないものだけを抱きしめている


不安の結晶


もういなくなった人の、痛み


それぞれの夕さりが0に近い部分をさらっていく


白い死神


地面に依存しながら


誰かのピアノ


皮膚と皮膚を縫って


宇宙の穴まで


温かさの確証を得る


木の葉が舞い散る


ありがとうの仕草だけを残して


ぐるぐるとただひたすらに螺旋階段を降りているような気分になる


今は何年何月何日?


外はもう赤く染まってしまって


今からじゃもう遅いんだって


君の名前を忘れたくない


君の声をずっと抱きしめたい


絵の具でぐちゃぐちゃにして


乱雑になり続ける素粒子に優しく語る


物語


放課後の図書室から見降ろしていたよね


くるり、ふわふわ、定まらない影


ただ振動に耳を澄ませている


季節が季節である証拠


あらゆるものが輪になって


一人ぼっちの君を取り囲んで


時間はもう戻せなくなってしまった


パラパラめくれる未来から過去へ


夜を切り裂く鳥の背中


合わせ鏡のように揺れながら像を結ぶ


疲れたね、よくおやすみ


ホットミルク


だらけた内臓はもう強い言葉を欲さない


明日も太陽がありますように


誰もあなたの優しさを損なわないように


手を振る


そして手を合わせる


あなたと世界との厚さ数ミリのわずかな隙間


通り過ぎていく、通り過ぎていく


笑った母娘


繋いだ手と手は、何かの形に似ていて


またあの温度を思い出した