日報

あるいは遺書

りゅう

ようこその雨

春の香りを纏って歩く少女


貝殻の中の街のように


階段を一段降りるごとに太陽が近くなっていく


巡る惑星についての詩を手に入れた


あなたに慈愛の手が差し伸べられますように


はらはら落ちた涙を大切なままにして


くるくると左右非対称の円を描いて下へ下へと続いていく季節


未来から過去へめがけて渡り鳥のように真っ直ぐに切り裂く


おいで


ゆれる音の導く方へ


幽霊の記憶に触って


不完全な祈りを捧げる


ここは温かいよ


こっちへおいで


もぞもぞと動く、虫みたいに


太陽が落ちた


ほら、句読点


反射する生活


ようこそ、赤ちゃん


ようこその雨


ぼくは負けない、だけどぼくは勝てない


素粒子の喜び


すくい取っては零れていく物語


たくさん集まった 


たくさん、たくさん


君の毎日は、君の毎日だった?


春の光で全身を濡らした


まだここにいてもいいなら


まだ覚めない夢の最中にたゆたう魚


その不安定な愛しい震え


もう出口かな


また入り口かな