日報

あるいは遺書

りゅう

どこにでもあるどこにもないもの

温かい部屋にいて


とめどなく存在をなくしながら


不思議な回路をつくっている


あらゆるものに命を吹き込む


夕凪のはるか遠く


まだ出会ったことがない


頑張って生きてる


他のものはいらない



風の吹く方


時計回りに


心臓のまばたき


現実を凍らせる


不安定な体


行ったことない場所に行きたい


そうして運ばれる


必然的に


形をなくしていく


記憶を蝕んでいく


許せるかな


優しい気持ちだけを手のひらに集めて


触る


仄かな鼓動が伝わる


言葉と吐息の中間にある色


季節の下をくぐっていく


置き去りにした約束を思う


窓辺に座って


静かに震える鼓膜


今日と明日を繋ぐ動物


誰かの足音


ささやき


ここにいてもいい?


橙色の天使


はばたく


手を離してしまった


もう誰もいない


はらはらと落ちる


花びらを髪に飾る


色を膨らませて空に飛ばしてみる


形が形であるということ


答えは求めない


何かになれる一瞬


まばたき


寄せては返す波動


深い呼吸


晴れの日


見たい


意識のずっと奥の方


届けたかった声


空に落ちていく


熱を発している


傷つけるもの、癒すもの


冷たくて温かいね


表情をなくす


海をなくす


歌を歌うことを誰も止められない


コップから水が溢れるように


どこにでもあるどこにもないもの


見たい