日報

あるいは遺書

りゅう

いちばん青い場所で

鍵盤の白と黒


星の波動


夢と現実の境目


静かに佇む影


一つ一つの信号を


大切に


食べて


人形が歌いだす


カナリアの声を真似て


子供のころの自分


鏡の国で


殺されて


大切に


時計仕掛けの


ゆっくりとまわる


見えない


戻りたかったね


いちばん青い場所で


みんないなくなった


詩が折り重なる


光が曲がる


りんごの木が揺れる


龍脈の流れが変わる


失われた海


灰色の瞳


遠くからやってくる


宇宙の歌


精霊の子どもたち


置き去りにした約束


太陽の雨の音


不完全な形


満ちては欠ける息


旅を続ける


寂しそうに笑う


命の階段を降りていく


美しい熱


祠に隠れる


心臓を取り戻す


見えない水に沈む


電車もバスもぜんぶ止まって


話し声も消えた


もう無理して余白を埋めなくてもいい


何百年も昔からここにある建物みたいに


贈りものを届ける


天使は人間の形をしていない


でもわかりたいな、できるだけ


灯りをつくろう


澄みわたる


目を閉じて


早くつかまえて


色が交わる


陰影に包まれる


記憶を一つ一つ


大切なものもそうじゃないものも


みんな等しく


暗い穴に落としていく