不安定
不思議な眼の魚が
小さな鈴の音、未来から
遡る、翻る
待つ、都会のざわめき
億千万の鼓動
淡い日差しの虹に触ってみる
正しいと思ったりそうではないと思ったりしている
右足、左足、交互に、誰?
不安定
精霊は意志を持たない
記憶の一部分が締めつけられるような痛み
失われた海に浮かぶ時間
あの苦しみを自分なりに大切にしてきた
9歳の頃から、4歳の頃から
特殊な循環の中で
人の匂いのする夢に包まれる
律儀に食べたり排泄したりしてきたこれまで
ちゃんと想像できているだろうか
りんごの木が揺れている
傷つけた欠片の呼び声
粛々と家事をする
放課後の図書室のカーテンが春の風に踊る
目を閉じて螺旋階段を降りていく
鳥籠の中で空と繋がる
心臓に手を当てて確かめる
色とりどりの風船を飛ばす
会いにきてくれてありがとう
ふと窓をあける
縁どりを失う
ビー玉を転がす
影が大きくなる、山焼けの火
迷子になりたい