日報

あるいは遺書

りゅう

無題

渦を巻く内部


白い湯気が消えていく


木立の蠢き


何一つ必要なものはない


時間は流れ続ける


ささやかな贈り物


夜が手を伸ばして


想像もできなかったようなこと


ずっと昔からここにあるもの


何もかも忘れて動物のように泣きたいと思った


永遠に間違ったまま


微かに甘い香り


ゆるやかにほどけていく風景


そのまま、そのまま


呼吸の方法を忘れても


名前の意味を失っても


過去と未来が混ざり出しても


そういうものだから


また会えたらいいけれど


冷たい水をすくって飲む


もう遅いかな


体中が透明に満たされていく


少しだけざわめく、だけどもう怖くはない


温かい約束をしっかりと抱きしめて


失われる瞬間までちゃんと憶えていて


深く大きな穴に花びらは吸い込まれて


絶え間なくゆらめく火をただ見つめている


本当も嘘もみんな同じもの


兄弟のようなもの


あなたの優しさが誰にも損なわれないように


羽根を拡げる


手を握る


波のように伝わってくる


後から思い出してやっと意味がわかる


守りたかったんだ