日報

あるいは遺書

りゅう

水中に吹く風

白いもやもや


羽根が生えたら


魂の重さ


虹のひかり


アメーバだった頃の


ノアの洪水


蔦が絡まる


オルゴールの信号


家に帰ろう


泡を吐き出して


手のひらのカナリア


声の形


お祈りをします


水中に吹く風


水中のゆらめき


もういない人が今ここにいる


沈んでいく


街が見える


年をとった太陽が


絵本の中


廃墟の神殿に


綺麗な赤い髪を


ゆらめいて花が咲く


時計の針を刻んで


台所の陰影


沈黙を構成する


小さな妖精たちが


深く沈みながら笑う


デオキシリボ核酸


星巡りの歌


はいといいえの間の躊躇いを抱きしめる


体内を季節が馳せる


迷子になりたくなって


逆さまから宇宙を見下ろす