日報

あるいは遺書

りゅう

 

振動を拾い集める


次の形に魂の輪郭を馴染ませていく


神様の名前を忘れた


最初に見ていた景色


時間は流れたり、止まったり、また溢れ出したり


いざなう橙色の天使


愛だったかもしれないもの


静かな車内に赤ちゃんの声だけが響いている


今はただ目を閉じることしかできない


言葉になる前の言葉たちが


何かの予感を連れてくる


白い、不思議な、儚い、羽ばたく


森の中でひとり帰り道を失くした


ピアノ


降り注ぐ光を皮膚で食べる


奇形の翼を撫でるように


命の名前を確かめるように


あなたの声だけが道標になる


子宮の天井に広がる空の色



夢の痕の匂い


指先で街を奏でる人


どこか遠くに行きたいな


色鮮やかな風船の群れを見送る


図書館の廃墟で


繭を育てる


こわい?


夜明け前、透きとおる、たおやかな羽


私の知らない私が紡いだ糸を


大切に、大切に


五線譜を渡る季節


卵の殻


もうすぐ列車が出るから


不完全なふくらみ


さようなら