日報

あるいは遺書

りゅう

猫について

硝子を拾って水に沈める


私は水を知っている


それは遠くからもたらされる


ねじれるように踊る


二面性がある


楽しいけど苦しい


深く深く祈る


形は形であるというだけで虹色にきらめく


保護されている


納屋の片隅で埃を被る大切な約束


かつて父と母が存在し


私は幼かった


私は弱かった


しかし時の流れは決して冷酷ではない


音楽のようなものだから


体裁を取り払う


考えうる最も自然な形で真実を暴く


白と黒の鍵盤を叩く


夕暮れ、影が伸びて、家路につく


電車、がたんごとん


ジャマイカ煙草をきめながら


深く取り残されて


なんだか輪郭と輪郭がずれて


よかった


様々な国に昇る朝日について


波動か粒子か定かでない物質について


ゴミ捨て場に置かれた楽器について


猫について


季節と季節の間だけ入ってくるものがある


星の軌跡を頼りに旅を続ける