日報

あるいは遺書

りゅう

影が通り過ぎる


私の中を通り過ぎる


何度も何度も


通り過ぎる


日が陰る


どこかで子供が


熱を出す


誰かが魔法を使って


時間を巻き戻した


言葉はすべて逆さまの意味になって


テレビの中でお化けが笑ってる


飛行船が透明な空を渡る


雲ひとつない澄んだ空気


私たちの街を残さず映し出し


渦の中心に近い場所で何か光っているものがある


そうか、ねじれながら繋がっているんだ


あなたの子供は真夜中に目を覚ます


あなたの子供は神様の人形


風もないのに日記帳がめくれる


過去へ、過去へ、過去へ、過去へ・・・


宇宙の始まりを思い出しては忘れる


黒い天井に魔法陣が浮かび上がる


誰かが私を見ているような


小さな人たちが


私の中の扉を開けて


本当にたくさんの小さな人たちが



波だ


あなたの子供は白い卵の中に帰る


あなたの子供は失われた海の底に沈む


あなたの子供はあなたの前では大人しくしている


あなたの子供が深淵を覗く時深淵もまた


白黒の疲労


台所の音


不必要な契約


横たわるどろりとしたもの


あなたの子供の目の奥で乱反射する虹のプリズム


あなたの子供の皮膚の下に埋め込まれた毒々しく脈打つ赤いかたまり