日報

あるいは遺書

りゅう

風が立つ

 

誰もいない

 

時計が回る

 

私は風景の中にいる

 

この風景を見ている誰かがいる

 

それを感じる

 

それを匂う

 

耳鳴りがする

 

宇宙を巡る音

 

とんびが飛んでいく

 

空を切り裂くように

 

異物であるかのように

 

抱かれている

 

物語は始まりを探している

 

細胞が分裂し始める勝手に

 

台所に突っ立ったまま動かない人影

 

何となく不安になって

 

外に出る

 

月が見てる

 

そうか、寒かったんだ

 

微かな音が無音をより一層際立ったものにする

 

公園の遊具とかがある

 

いつもは子どもとかがいる

 

今日はいない

 

心臓の反復、恒常性

 

言葉にできるということはそれは見たことがある

 

馴染みのある素材で出来ている

 

運命の一端を担っている

 

そういうものの中にわたしたちはいる

 

生暖かい泥

 

口いっぱいに含み

 

えくぼがかわいい

 

女の子と男の子