日報

あるいは遺書

りゅう

見る

光の雫


影を追い越す


電車がくる


ねえ、呼ぶ


もう何も思い出さないで


この感覚を書き留める


服を着て夢を見る


公園に行く


耳を塞げば生まれる前に戻れる


水の中で


意識の境界を跨ぐ


天国にも地獄にも近い場所


でも、どこでもない


飛行機を飛ばす


ゆっくりと滑っていく


そのすべてを見る


溶けそうで、消えそうで


遠くにいて


青く照り返す


書き出しの言葉はいつも迷う


届くかどうか不安で


だけど精いっぱい手を伸ばしている


私の知らない場所で


まだもう少しここに座って居よう


風景が風景を連れてくる


それを見るために


ピントを合わせる


他のものはぼやける


でも気配を感じる


もういない人も


まだそこにいる


身体を失った後も


心を失った後も