特別
特別
微笑みが滴る
じっと伺うように
蝉時雨の記憶
堰を切ったように
遷ろう街
火は揺さぶられ
考えすぎておかしくなった
両手を広げてはくるくる回る
魔法のような言葉
温度のある歌
何千回
小さな輝きだけを書き留める
体の中の祠は開かれている
あなたも、一緒に行こう
ざわざわと風だけが吹いて
奈の木を揺すっている
それは自分が一番言われたかった
大丈夫、忘れないで
大人になっても
ずっと探している
家事をする
橙色の冷たい窓
気まぐれに空白を埋めていく
その中にあなたもいて
それだけでよかった
心臓の咲く音
鼓膜の揺らぎ
両肢から伝わる地面の感触