日報

あるいは遺書

りゅう

フラクタル



あれ?


人の影


出口へ向かう


潮騒を奏でる


感情の色が伝播する


ちくたく


過ぎる


目を覚ましているのに


歌はどこ?


逃げ場


降下していく



深い霧で何も見えない


底まで沈む


極限までシンプルになる


生まれ変わって死ぬ


記憶の抜け殻


白くなったんだ


配列がほどける


世界が崩れる音に


耳を澄ます


記号


体温


入れ子構造


かつて所属していた風景


稲穂の揺れ方で風の方向がわかる


何も喋らない


何も示唆しない


網膜は像を結ばない


秘密の穴


鳥になりたいの?


少しだけ光度が増す


じゃあここを離れよう


これ以上契約はしない


優しさや愛に見返りを求めない


木が空を目指して伸びていく


フラクタル


涙が一滴



確認する


交互に編む


偽物じゃない


本物でもない


タイムトラベラー


怒りや痛みさえ


ただ単純に今


還元する


引き換えに流れ込む匂い


命の代償は命


冷たい体を抱きしめる


動き続ける、蠢き続ける


良い気、悪い気


引き寄せ合う力


バランスを取って


子どものように


再び


そこにあるもの