日報

あるいは遺書

りゅう

温かいかなた

ひかりをつくろう


君にしか聴こえない音


抱いて


風の意味する


まだ


形のない夜


結晶


トンネル、海


たくさんの風景を見てきた


誰かの


彼らの


指先に願いを込めて


静かに鼓膜を震わせる


呼吸を散りばめる


花をあつめて


名前を忘れて


木漏れ日の真っ白な


透明な渦


天気輪の柱に沿って


どんどん、身体がやわらかく


愛と呼んだっていい


胎内を巡る星


引き離されて


手と手


きらきら


未来から過去へ響く歌


意味がわからなくてもいい


なくてもいい


温かいかなた


見覚えのある夢の中


夕日色に染まった天使が


言葉になる前の言葉で


小さな


時間のふるさと


ここからいちばん遠いところ


車に乗って


境目


耳元で


季節がまた表情を変えて


古い時計が動き出すように


見たこともないのに懐かしい


そうだね


交互に踏み出す


アスファルト、土埃


いつでも何かの色があって


もっと一緒にいたかった


心臓の鳴る部屋で


何もせずにいた


温かくしておやすみ


神さまに愛された子ども


逆さから水面を見下ろす


膨張と収縮に飲み込まれる


迎えにいこう


カナリアの声を真似て


かえろう


記憶の中にある街


不思議な影


祝福の日