日報

あるいは遺書

りゅう

東京について真面目に考える

目を閉じると自動的に音楽が流れる、ぼくはその中へその奥へ、自動的に歩いていく。想像力が退廃している。無差別に混ざっている。記憶が機能しない。植物が空を目指さない。止まっているここで、全力で回転してみる。ますます混ざっていく。他人の傘に黙って入りたい。笑っている子供の親譲りの顔面。ぼくは自分にまみれている。泥人形。水に入りたい。狭間でこの歌が笑うならばいつから何をその瞳に映す、別れを来いと、混ざる夢、幽体離脱、わかっている、海を越えていく。布団の奥へ、もっと奥へ、冬の中へ、温度の魔法をバラバラに分解しながら、今会いたい人はいるのか。細長い線、細くなり続ける。また表情筋に力が入りすぎている。夜は騒々しい音を立てて、組み立てる、オブジェ、周囲はオブジェで敷き詰められている、脳髄の運動。止まらないのは何故なのか考えない。凍る夜がいつまでも変な顔で不快だ、吐き気を感じる。もう何もかも棄てて打ち上げられてしまいたい、どんどんその奥へ止めどない、肉体は発情していて、精神は水浸しで冷たい。耳の奥でギリギリ言っている小さな子供の幻影を切り裂いて冷たく醒めていく、切り裂くことは好きだ、スカッとするから、切り裂くためにあるものがたくさんある、切り裂くことは好きだ。湖にズブズブ沈む静止している銅像。微粒子レベルで速さが溢れ出す、今目の前に見えているものだけがすべてなのだとしたら、もう何も信じられなくなりそうだ。醜く咲く欲望だけがすべてなのだとしたら、音楽なんてやっている場合じゃないだろ。都合よく装飾された暴力の穴に吸い込まれて、奇妙な手術を受けている。ここにいる人間はみんな知らない人で、記号だ。無感覚な床を踏みしめる、気付くと走り出している、慌てて立ち止まる、その後の動作が思い付かない、静止したまま揺れる。静止したまま歪む。静止したまま落ちる。どうでもいいんだ、言葉で語られることなんて、神は俺に話しかけようとしない、季節も命も重力も俺と仲良くしようとする気がない、俺はこんなにも譲歩しているというのに、と俺の細胞はそう思う、全身の細胞のうち1億分の1くらいは。だが、無視して肉を食おう。ぐるぐると渦巻くすべての場所、煙が舞う、またかと思う、これはデジャヴだ。二つ目に殺人を置く、そして一つ目の目、うるさい消えたいもう嫌だ、学生、目に見えない死体を跨いでいくと仮定する。赤黒い妄想、何らかの逆転だ、理由はわからないけれど、柔らかいことをしたい、死にたくないけど一旦肉体を消したい時がある。道に金が落ちている。金が散らばりまくっている、もう手の施しようがないほど、ひどい、あらゆる場所にその破片が、散らかっている、ごちゃごちゃと、うるさく、まとまりなく、ぼくはそれを見て諦める。こんなにも絶好のロケーションでふわふわできないなんて、大切なものの価値が急速に低下していく、呼吸が弱くなって、血圧が下がって、視界が汚れた白い膜に覆われる、意識が震えながら収縮していく。その時、恐ろしい速さで運ばれているということを実感した。何か一つのものになりたい、なんでもいい、それが一つであれば、それでいい。空想の世界で空白を埋める。生き甲斐が適度に生き甲斐じゃなくなってきて、生きているのかどうかわからなくなって、月を見た。そしたら寝てた。おっぱいに挟まれる。顔が。夢の中で夢を見てその夢の中でも夢を見ているから脳みそがあまりにもでっかくなりすぎて重い、透き通った空気が徐々に乱されている、膨張しすぎてお気に入りの箱から出られなくなった。テレビの中の曖昧な絶対、とろけきった態度、ネットワークが浸透する、雨のように。意識のチャンネルを切り替えて、ぷつんと、深夜3時、東京について真面目に考える。でもその後寝る。骨折をしていて、快楽を正しく受けられない。たまに俺は化け物だと思う。だけど、俺が化け物だとしたら、人間なんて全員化け物だろ。だけれども、たまにこの地球上に人間は自分しかいないと感じる。切実に、染み込むように、当たり前のように、嫌らしく、言葉にならずに、そう感じる。人の悪口を言うとその分自分に返ってくるという厳然たる曖昧な掟を、ある日公園を歩いているときに、何の前触れもなくいきなり実感した。あらゆる言葉が意味を持ってぼくの体内に侵入してくる、強制的な意味、意味に犯されて醜悪な子供を産みまくっている、死に絶えた精子の一つ一つにもそれぞれの意味があって、声高に権利を主張している、メロディーは片端から打ち消される、意味の行列、意味の集団心理、それらは干渉しあい、さらに複雑な模様を描きながら、ありえない音を立てている、ぎゅるぎゅる、ぎこぎこ、ぼくはリセットボタンを押した。それは麻薬のように白く染めた。喜びの極地と悲しみの極地を2秒間で一度で味わい、全てを知った後全てを忘れた。

繊細な粒子が繊細なまま擦れ合う音だよ

冷たい墓が裏切ってまたぐこの腕のしなり方は身体性を放棄する寸前の音を立てて、腹這いになって敵の様子を伺っているいやらしい目、めちゃくちゃな内面。止めどなく通行していく止められない定めというかそういった様相の車が。もしぼくがセーラームーンだったら。いつか空から地上まで一筋の大きい光、超高熱によって殺菌していく、綺麗なあなたの綺麗な身体を。まだ眠っている、まだ眠っているよと返事をして、窓が白く曇って、この部屋は狭いけど深いな、洞窟の中の湖みたいな限りなく透明に近いブルーを煙草で汚して、母の子宮で目覚めた、覚醒したぞ。よろしくお願いします。半端な数を割りきって線路はどこまでも続くから君の裸が何かの意味を振りかざす前にスプレーで塗り潰す、他の人はみんな寝ている。夢と現実を行ったり来たりしていることはもうどうでもよくて、そう、ただの意識体験だから冷たくしたり優しくしたり行ったり来たりする。腹に力を入れろ。ぼくは時間を待っている、飯を食いながら、アルバイトをしながら、月日を複雑にバキバキにしながら、大地を踏みしめているよ、ありがとう、その次へどうぞ。何もかもがふやけて溶けるような夜に君と君の家族が笑いあっていて、文字列が冷たくなりながら海を埋め立てるようなそんな風が吹き荒れていて、嵐の夜にという物語のことをぼくは思い出したんだけど、それを君に伝える隙間がなく、1秒の1秒の間の空間はいつも冷たい。早い。毎回こんな感じでぼくは笑ってはいどうぞ、それからまたもう何もかもが嫌だとか言ったり手首を切った、破壊と破壊と破壊は優しいフリをしてお姉さんが笑っておっぱいが揺れる。風景。風景と呟く。風景を潰す。脳みその中身と目の前の風景がどろりと溶け合いながらゆっくりと、何かの生き物として誕生しようとしている。誕生日だ。光が満ちて光が満ちたことすら忘れて白と黒の対称的な建築物が空を目指す、上だけを目指す。はまるのはもうやめた、いつだって病気のような言葉が覚えられずに積み上げられた雑誌の隙間から小さな虫がひょっこりと、羽を生やして、不安だ。身体の中に何かがいる。だって身体の外に何かがいるんだから、身体の中にも何かがいることは当然のことだろう。ぼくは抽象的な刃物で抽象的な空間を切り裂きました。血が赤い、この赤と君の赤を比較する、こうやって並べて、こうやってだよ、並べるんだよ。鳴け。そしてそれよりもっと深く入っていく、赤ちゃんの中、そして大人の中、社会の中。笑う幽霊が吐いたゲロの内部から汚いと言った虫が悪い色を身につけて醜いと言った君はどこか不安そうな目で窓を悲しみに染める、冬の気配の街がボトボトこぼれ落ちながらどうでもいい動作や言葉をテープレコーダーのように繰り返しまくる、生きている限り、この命が、電力が続く限り。時間のいななきが快速急行に乗って田舎の風景を一瞬だけチラリと見せて、その生活を恥ずかしい部分まで解放する、身につけた術が何も役に立たない、重力が反転する。寄せては返す波がぼくは好きだ、その音が聴こえている間魂は心地よく冷やされて細胞はもう誰も傷つけない、脈拍は沈静化してぼくはその鎮静剤がもっとほしくなる、ずっとこの中に入っていたい。パックリと大きく空いた口が何かを暗示しているようで、その何かをぼくたちはいつまでも、こじつけようとしている。逆さまになった子供がぼくを見てあざけわらう、生き物のくせに調子に乗るな。わかったと言って踵を返した、その先には多分家々の灯りがどこまでも続いていてキリがない、そんな風景しか現れない、だから君の細胞の隙間の奥にもっと入っていきたいんだよ、ブヨブヨの、ぬるぬるの、常に蠢いていて何だかよくわからないけど、何にでも見えるような模様を常に浮かべている。速さが生まれた時この世界に太陽がもっとあった、そうだ何も考えるな、今からその向こうへ突き抜ける、音を立てて、音を奏でて大丈夫じゃないところまで行けたら、手を繋いで歩いていこう。魔物の家を素通りして、多分概念としては知っていたすべての風景、朝になったらどうなるんだろう。まだわからない、犯罪が遊んでいる、大きな公園、人影、影だけ、猥雑な群れ、混ざった声。愛してるよ、愛してないよ、無理して無にする。よくやったぞ呼吸が乱れてぼくはぼくの戦闘機と共に徘徊する夜の静寂のうつろな犯罪者、缶コーヒーを飲みながら何千回も行ったり来たりした踏み切りの前を通って、ただついていく、滅して、ついていくだけ。からかう前のうつろな風景の彼方から見る全体がぼやけてまだ丸くなる前のいつかの過去の籠のなかの鳥が熱を放射して動物性。みんなの中でぼくは大変だった。すみませんでした。うるさいなあと思った。必ず逃げるからまた大丈夫になれる、いや違う、殺しているんだね、からからから笑い合う慈しみ合う、他は何もかも吐いた。馬鹿が多いな、馬鹿だな、そうさせるのは、君をそのように変化させるものは、テレビの中からやってきていつの間にか消えている、大気に溶け込んでいる。わかりましたか?何度も聞くけど。君は何がしたいのか、何が欲しいのか、輪郭をはっきりさせろ、息を吸って、吐きながら、できる。できることとできないこと。首の付け根辺りがぞわぞわとしてくる、この世界全体からぼくの脳だけが取り残された瞬間の記憶が甦ってくる。ぼくの目を覗き込む人形たち。感情がより深い部分で伝染してぼくは快楽に変換する、快楽によって応答する、真っ黒な宇宙の中に、ぼくの家があって、ぼくは窓を閉める、お母さんを窓から突き落とす。そうすると、階段が現れるから、それを登ってください。登っていくと、扉が現れるから、そのノブを引いて、屋上に出た、景色が綺麗だ、空気が広い、解放感がある、誰も見てない、何かの音がする、どうでもいい音とどうでもいい音が混ざりながら何となく心地よくさせる。ぼくは光っていたんだ、深海とか、宇宙とか、そういう何の希望も期待できない場所で。本当だよ。約束するよ。また歩いていくけど今度は乗り遅れないよ、思考パターンがもやもやとして、赤や緑に、様々な淡い色のように漂ってしまう。煙のようになって、どんどん外の大気と混ざってしまう。自動車のおもちゃを投げる、ただぼくがいるだけの空間でぼくはぼくを分裂させる。それは快楽で、苦痛で、もうどうでもいいや。主体を喪失してしまう。髪の毛の匂いを嗅いでいる。柔らかな白いシーツの皺。思い出せるのはここまでで、ぼくはその先の決して言語化できない次元のことをこうやって目の前に現していたいんだよ、常に、いつも、震える唇が青くなっていって、人間の顔じゃないみたいに、パーツとパーツが分離し始める。大丈夫だよ、そう言う人が、暴れて、悲しんで、手を挙げて、賛同している。頭から真っ二つに割れていく、もちろん比喩。ずいぶんと少なくなってしまった、その焦りと切なさが方向を迷っている、地図が牛乳で汚れて、間違っていく。何のイメージもなく平和的な音が鳴り響く、何億光年の空間を包括的に、そのことに気付くこともできるし気付く必要がないとも言える、ただ病を抱えて登る、そのうちの何分の一くらいはすでに死んでいる。大切な秋が風に馳せて緑色の細い風がブランケットの上で退廃的な仕草で適度に絶望と諦めを与える、それはもはや爽快感ですらあるし、商品化された食材を買い揃えなければならない、解き放たれた君は家族の前でありありと見せていなければいけない、誇示しなければ。その短い季節を縫い合わせて、閉じ込めて震わせて。お前という存在は何かの象徴でなければいけないのか、焼け落ちる家、ぼくの家、最高だった日々よさようなら、目の前にトンネルが現れたらくぐらなきゃいけないんだよ、臆するな少年よ、お前の足はお前の足として機能しているぞ、最高だな。そして形象は溶け落ちる、頻繁に溶け落ちている、一日に数回くらい溶け落ちるじゃないか、どうしようもないな、溶け落ちたときぼくはその溶け落ちる音を聴くんだよ、サラサラ、繊細な粒子が繊細なまま擦れ合う音だよ。それを君の脳に直接転写したいんだ、たとえば君がベッドの上で柔らかなシーツにくるまっているときに、通りを車が通り過ぎる音に重ねて。まばたきをするたびに奇跡が肥大していく上昇気流の時、ぼくは可能な限りの静寂を手のひらに集めて、それをただ感じるままにする。白と黒の隙間から鮮やかなかわいい幽霊がこんにちは、ぼくは多分大丈夫だろうと自分に言い聞かせる、煙草に火をつける、リラックスして。ハイパー爽やかな日差しに触ってみる、それがぼくの一部になり始めた時、唐突に声を発して、ぼくがぼくであるというただそれだけの全能感を呼吸に乗せて、宇宙の真ん中で柔らかい孤独を感じている、他者よ、他者め、浮かんでいるか、何にピントを合わせる?淡い光が学校へ行く子供たちと戦士を包んで、道に落ちたビニール袋が風に舞って空のクラゲみたいになる、線だ、境界線が見える、ぼんやりと浮かび上がる。彼方の悪い人たちが感覚を悪用してまた割れる地面の中へそれを突き落とす時、遠く離れたこの国ではバイブルがない、バイブルがどこを探しても存在しない、と思ったけど、それは実はぼくの中にあったんだね、ぼくの内臓の中に、その一つとして液体として、染み込んでいたのか。なーんだ。だから問題はそこじゃないよ、気温が変化していくような、色鮮やかなメタモルフォーゼを抱き締めて、このSEKAI NO多様性を肯定できる。疲れた脳が笑い始める、怒る大人の人が影からやってきて、大陸は少しずつ動いている、お湯が沸く、ぶくぶくと、遠い昔の記憶が沸いている。朝の影だ。遮断した半透明のカーテンがぼくとぼくの遊びをぬるぬるとした不快感の中へ深く沈める、眠くても背筋を伸ばして弱い生き物を殴る、固有の鳴き声が彼の存在感を際立たせる。絵本の中からやってきた悪魔が友達と友達の絆というか細い線に絡まって赤黒い液体が染み出してくる、それは宇宙創成の瞬間からこの世界にあった原始の一つで、光のスープの中に止めどなく入っていきながら、ずっと待っていたんだろう。どうでもいい道がいつまでも続いている、それを描写していくこと、呼吸と共に、右足と左足を一つの巨大な生き物として、この空間に規定していき、間に置き忘れた大切だけどどうでもいい女の子の、面影を求めてる。面影をちんこが探してる。ぼくはぼくの中で輪になって踊っていた、その姿は全体的に清らかな印象だった、ミュージックを止めるな、その特殊な時間の集合体を、意志を持った生き物として迎え入れよう、地球の端っこで寒くて震えている子供に声をかけよう、写真を撮ろう、ハイチーズ。夜が混ざってくる、子供たちは後片付けをしながら、作曲をしている、そう、みんなが音楽家だから、メロディーは途切れない。異次元へと透明な手を伸ばして、旋律の潮流をひとすくい、口に入れる、そして皮膚全体を震動させながら、それを吐き出す、背筋を伸ばして、お腹の底から。限りない風景をべたべたと装飾する、びりびりと破きながら、誰かに迷惑をかけながら、そして大人の人に怒られながら、犯罪と日常について考えていた、多分、マーブル模様みたいなものだろう。羽ばたいていく小さな鳥を、視線で射止める。ぼくは言語を一切使用せずに、幸せになることができる。食卓につこう。あらゆる淡い音色が満ちてくる。頼りない天使が地上に落ちる。今から走り出してもいい、うずくまってもいい、好きにすればいい、許されている、大きな公園で、日射しの角度に身体の軸を合わせて、噴水に浮かび上がる泡の一粒一粒に呼吸のリズムを溶け込ませて、意識的に、風景と繋がっていく、その鮮やかな物語を、声に出す。ポジティブな感覚とネガティブな感覚は内在されている、目と耳の関係性のように、時に反発し合いながら、時にゆらゆらと遊離しながら、冷たい蔦で絡まりあっている。その塊を、飲み込む、ぐっと。破壊者、浮浪者、天の声、割と美人な人、清潔感のある大人、バンドマン、絶望を司る者、希望を物語る者、コンビニエンスストアの主、全国の匿名のみんな、影、果実園のおじさん、風呂屋のおばさん、アイドル、悲しい人、徘徊する人、盲。新宿駅の改札を抜けていく、何者でもない一個の肉体として、何者でもない一個の肉体ということを強く意識しながら、身体の力を抜いていく、そして音楽を聴く。とろける。もやもやしているものを全部集めろ、それは火がつきやすい、それは火力がある、それは発電に使える、ぼくは発電所。蟻が歩いている、それを見ている君、それを遠くから見ている雲とぼく。バイバイ、またね、という言葉が聴こえる、右から入ってきて左に抜けていく、その抜け。古いトンネルの中の薄暗い闇と光のコントラスト、それと残響音を思い出す。集まって黙祷する人。仏壇に手を合わせるおばあちゃん、顔中が皺で構成されている。そこに畳の匂いがジャストフィットしていく、重なりあって完全な風景になる。夜の波の音。ぼくが何を言いたいかわかるだろうか、少しだけそわそわしている。ちゃんとタイムスリップできる。ちゃんと壁を通り抜けられる。一息で抜き消す蝋燭の火は、その中に少年や少女を含んでいて、ぼくは悪者になってヒーローに倒される時がある、毎日と毎晩が行列をなして遥か彼方の大地へ亀裂を残して、最悪と最高の波が次々と砕けていく様子は、動物界の過酷さを思わせる、記憶の塵、大脳皮質の破片が床に散らばって、独自の回転は見るものを飽きさせないし、その絵の中に一歩足を踏み入れたら、君も重要文化財になれる、家族の視線を感じながら、遊んでいるぼくとそれを見ているぼくが、無限に分裂し増殖しながら、この家を憎む、当たり前の場所に立って、この街を見下ろしながら、感動を味わう。真冬の川に飛び込むくらいの思いをしろ、きっと後悔しかしないだろう、そうだ、君は今日まで生きてきて、きっと後悔しかしないんだ、その鮮やかな破壊を今まで出会ったすべての人に見せつけて、映画は進む、ストーリーが転がり始める、君は、危険と中へと流れ出して、ドキドキしている、ドキドキさせるものがここにはある、バイバイ。皮膚全体で息をしろ。鼓膜の内側の神秘に触れる。黙祷する。異次元空間にぼくという人間に関する情報の束が流れていると仮定する。歩行をすることによって、物質と精神の混合物を、バランスよく捉える。ぼくはここにいるぞ、ぼくがここにいることによってあらゆることが可能だ。ぼくはここに配置している。ぼくはここで、感覚を能動的に受動しながら、体験を繰り返す、目は覚めている、心は開かれている。リズムが生まれている。高速で季節が巡っていく。鮮やかさが取り巻く、破壊と再生が一体になる、魔法、つまり説明できない不思議な力が溢れ出す、虹が点滅する、概念が統一される、鋭い風が風景を切り裂く、身体の軸がより強固なものとなって輝く、バリアがより最適な形にねじれて複雑な美しい模様を描く、今だっていう瞬間。空間に泡が沸く。木々が揺れている、虫が騒いでいる、火が燃えている、夜がじっとしている、現代に生きる原始人たちが音を奏でる喜びを味わう、舌の上に乗せて、ゆっくりと、よく噛んで、運動が好きだ、流線型を描いて落ちていくキラキラと光る小さなものが、か弱い声で染み出す至福、最良の、最も良い、透明。踏み込んでいこう、半分だけ重心を前へ、応援しているし応援されている、アルバイトを毎日しっかりとやっている、安心感のある声を聴いていられる、その朝へ、行こう、温かいスープを飲み干して、最近あった楽しいことを淡く思い浮かべながら、何らかの構想を練る、水面下で計画は熟成していく。無意識の中で笑っている女の子。晴れ渡った空に向かって固有の鳴き声を出す、ぼくは想像の中で空を飛んでいる、ぼくは想像の中で空を飛ぶことができる。新しい家族を思い描く。細胞の一つ一つが狂おしいほどそれを求めている。ありふれた光が満ち溢れる、当たり前の奇跡、みたいな、日々の夢、毎日そこにある夢、黙っている、大人しい、ノイズが、割れた地面の中へ染み込んで植物が吸い取る。ぼくは生きていてよかったと、誰かに言おう。誰でもいいよ。愛がゆらゆらと天に昇っていく、それが見える、それは完全な球体。ゆるやかに、目に見えないものが流れていく、ぼくは身体を抱きしめる、守られているという感覚を大切にする。ぼくは挨拶をする。他者がいる、他者にアクセスしている。意識がふわふわと漂って、こんな幽霊みたいな瞬間も悪くないと思う、少し宙に浮いていた方が地面とも仲良くなれるだろう、そう思う。わけがわからないことをわけがわからないままにしておくことができる。右や左に迷わなくて済む。人にどう思われようがどうでもいいが、痛いことだけは絶対に嫌だ、それはとても自然な感覚で、その正しい形に沿って輪郭を描いていく、ハロー浮遊霊、全国のぼくと同じ感性を持った人たち。ぼくはずいぶんとこんがらがってしまったと感じる、肩が凝っているし、睡眠がこわいよ。ぼくは発射したい、自分自身を前方に発射して、いなくなりたい。空は青い方がいい。服は着ていない方がいい。階段が崩れ落ちる、その瞬間に快楽を感じる、光と熱に落ちて溶けていく虫の気持ちが今ならわかる、君はわかったことがありますか?だから、いつでも照らして、すぐにわかるようにしてほしい、ずっとそばにいてほしいよ、活性化したい、丁寧に。流れていく流れていく流れていく、過去現在未来あと何かエトセトラ、触れたら壊れてしまうものがもう死ぬほど欲しくてたまらない、ゆっくりと優しく手のひらで包み込んでいく、閉じ込める、指と指の間から青く輝く、きつく張った弦が、柔らかく震えて、この世界の何かを変更する。飛び立つ鳥を見ている、しっかりと見続けることでぼくは飛び立つ鳥になる。しっかりと見届けるんだ、目に映るものはすべて。リラックス。胎内の呼吸に還る。最大になって、最小になる、右と左、交互に揺れる。安全ランプが点滅。微笑み、泣く。殴って、抱きしめる。すべてを包括する、未完成のシステム。物理法則は予告なく変更する場合がございます、ご了承ください。ぼくはとりあえず了承している、自殺するか、寝るか、毎日選んでいる。たまに太陽という言葉を叫びたくなる、ほぼ何もない場所で、何事も起こり得ない状況で。犯罪者にならずに済んだことを毎日感謝している。ありがとう自分、ありがとう、これからもよろしくお願いします。地獄の使者。徘徊老人。悪魔の片鱗。

自分自身がこの世界にアクセスしているという感覚を忘れてはいけない

通りには色彩豊かに、祝祭の香りが満ち満ちている。ライセンスを希求する。言語を持たない大多数に心を開いたことがあるか。柔らかな影をつくり、すべての輪郭を曖昧にしていく、溺れる。息しかできない。犯罪者だったことがあるし、動物だったことがあるけど、風が冷たい、会ったことのない森を懐かしく思ったり、対象のない恋をしている、自我を粉々にしながら。世界中に子守唄が鳴り響いて、反響して、時空を歪めて、人類が滅べばいいのに。おいお前は誰でもないぞ、名前なんて最初からなかったんだ、記号の四角い壁が迫ってきて閉じ込める、すべてを突き抜ける一筋の光というありふれた希望というか奇跡を、体験しようよ、興奮している。だってさ、証明なんてしなくていいじゃないか、姿を見るよ、君の姿を、動作を、質感を食べるよ、そのことをどれだけエキセントリックに君に伝えられるか、そこが問題だ、さあ、また会議が始まったぞ。懐疑的な。夜が冷やされて食べ物がおいしくなる、ただすべては無機質に沈黙して、可愛らしい、隔てているのは君たちじゃなく、ぼく。でも余計なんだよ、たまらなく走り出す、愚かな臆病者。見ているぞ、悪い存在や良い存在が、混ざり合いながら、複雑な軌跡を描いて、常に予測を裏切りながら、全身の目を開いている。そうだ、皮膚を覚醒させなければならない。雲はあんなにも遠いけど、ぼくはなんでも美味しく食べられるんだ、おばあちゃんにぼくのことを教えたいな。ぼくはいつだって簡単にガキになれるし、すべての物事とその動きを反対から眺める視点を知っている。本の中には載っていなかった、それは細胞の蠢き、一つ一つ、個別に認識され、目覚めた、それらの、反乱。隠れている場合ではない、侵食してきて頭がおかしくなりそうになる、たくさんの色のついたぐるぐるだ、色彩は美しい。旅に出たいと思うんだ、いつかは、ね、理想だけを動物のように追い求めてみたい。明るく照らすなよ、悪魔が潜んでいる、裸の中に、マリアナ海溝の底に。目に見えないものを信じている人は、実際にUFOと交信することができる、実際にだよ、思想とか言葉は必要なくて、実際に、リアルに、ありありと、厳然として。俺はそういうことも全部わかっている、けどそれは5秒後にはもうなにもかもどうでもよくなってしまう。なんていうか、不安定な煙が、震えるのを見る、風を読む、読むだけ、あとは何もしない、そんな日、今日は。国境は越えるためにあるし、衣服は脱がせるためにある。スタジオジブリの最新作を一緒に映画館に見に行く約束をした。透明感のある動作、今にも消えそうな喜びの表現、どんな時でも平和が手に入る。冬の気配の風が内蔵を撫ぜた。何らかの理由で諦めた人がスケッチする空や吐く吐息、ロケットが宇宙へと飛翔する、蝶が大気を羽ばたく、それは景色。家族たちが回転寿司屋に入っていく。とても小さな月の独特の色彩。中学生の自転車。今なら時空のどこへだってアクセスできるような気分になる。失ったものを、細部に渡って一つ一つ数え上げながら、まどろむ、窓辺。柔らかなメロディーを浮かべて、すぐに削除する。冷たい手足、不鮮明な笑顔の画像。優しく凍っていく時間。ゆっくりと揺れているそれを判別する、アプリケーションを開き、広がる地平線を見渡す、そうしていつまでも永遠に駆け抜けて、駆け抜ける姿を封じ込める。赤ちゃんを閉じ込める。廃墟の街を探検して、0の感覚を手に入れる。0の生活。0の素粒子の揺らめき。思い出のマーニーがヘラヘラしていても、仕方がないと思うだけ。そこにドラマを創造しない。ゆったりとした死に身を委ねる。洞窟の奥、地下の静止している水面、モノクロの大気、そのもっと奥、もっと深く、言葉を振動させず、ゆっくりと吐き出す、そうするとどこからか風が吹く。止めどなく呑み込んでいく壁にめり込んで、新しい五感を生む、産み捨てる。俺は魔法使いだ、魔法使いだぞ俺は。露出している皮膚がざわざわと戦慄いてうるさい羽がバタバタと、もうすぐあっち側に行けるんだと思い続ける、消滅しない、圧倒的な塊を飲み込む。欲望の渦、鮮やかな光、美しいとか醜いとかそういった価値観の二重螺旋が永続的に、消滅しない。輝いている思い出を材料にして何年もかけてオブジェを作り上げよう、きっと気持ちが良いぞ、生きていてよかったと思うことができるぞ。眠くなる女の子、囁き声、窓の外のオレンジ、侵入してくる風、細い隙間から幾度も幾度も幾度も柔らかくて弱い部分を刺激する。そして二つに割れる、闇と光とか色々対比させられるけど、実は正体はよくわからない、それは、君に自信がなくて優柔不断だからだ。大丈夫じゃないことを大丈夫だと言え。全く静止したまま転がり続ける意志を持たない悪魔が、その複眼を全方向に向けている、その時着信が鳴り響き、君はハッとする、ハッとしたけど。カレンダーを埋めすぎたと思った、感傷的なメロディーが通り過ぎ続ける電車の隙間から、大気を冷やしていく。まんまと乗せられている。奇怪な集合的無意識の触手に、されるがままになりながら、次に続く言葉を考え続けていた、その間にも街は機能し続けながら太陽は少しずつ下へ、落下してきている。目に見えない領域がある、そこを通過したときに、君は変化してしまう、今まで理解できなかった物事を五感ではっきりと知り、家族や、思い出や、固有の風、約束をすべて忘れる。なんとなく気持ち悪いと感じて、それを遠ざける、自動的に時間と共に、だんだん遠ざかって、そのうち天文学的な距離になる。時計の針がチクタクと鳴る瞬間、その瞬間に肉体と魂を浸して、自由な感じがする、柔軟になって、どんな細い隙間も通り抜けられる。だけどその先にどんな景色が広がっているのかはどうでもいい、君は最強だから天敵がいない。君は部屋をつくり始める。綺麗な色の貝殻を拾ってそれを飾る、綺麗な色の光線を閉じ込めて、弱く放射する。四方の壁はそれぞれ完全な調和でストリングスを震わせる。君は熱いシャワーを浴びる。普通とか特別とかが排水口から流れ出し、他人が一人もいなくなった。一人残らずだ。仕方なく君は、目に映るすべてを描写し始める、不完全な言葉で、部屋の中に新たな部屋を作り、止まらない。止まらなくなる。けれど以前とは違う、パニックを起こさない、脳細胞は奇妙に冷えきっていて、しかもそれを意識することがない。恐ろしいほど集中している。自分自身がこの世界にアクセスしているという感覚を忘れてはいけない。手始めにぼくは、窓を創造してみてはどうかと提案する。この世に唯一現存する魔法は果てしないミクロの中にある。声を荒げれば、そのぶん現実から遊離していく。