日報

あるいは遺書

りゅう

この最高という気持ちをいつどんな状況でも脳内に再生できるように準備しておかなければならない

実際問題飯を食わなければ死ぬし哲学してる場合じゃないなこりゃ、骨だよ。鳴り響く骨に過ぎない。不可思議で珍妙な空気感に沈んで何かを生み出そうと思う、ぼくは男性だけれども、それでも、何かを産み落とそうと思う、産み落とす穴、ないけれども、だけれども、それでも。まずはその中途半端な知識を捨てるんだ、健康の有り難みをわかっていた方がいい、太陽と仲良くなれたらいいけど、なれなかった場合は部屋をつくらなくちゃいけない、部屋を。瞬間的に危険を察知することができるのなら。親しみの深いメロディー、沈没する、真昼の街、イメージ、ありふれたイメージで遊ぼう、ずっと同じことをし続けよう、その最初の一歩を踏み出そうまずは。箴言なんて必要ないんですよ、都合よくコロコロ態度を変えることを躊躇うな、仕事をしていればいい、お金をもらえればいい、ぼくはたくさんの経験をしてきました今まで。夢から覚めてもまた夢だったり、大草原で空に近付いて空と一体化する風船を追いかけたりした、フロイトユングも家に帰れ、ぼくには当座の帰るべき家があるぞ、どうだ。旅にだって出られるし、愛の言葉を100万通りは知ってるからな。だけど憎しみや不快な言葉はその100万倍くらい多くて、やる必要のない障害物競争に駆り立てられているし、昔から運動会は嫌いだった、どう考えても運動は一人か二人くらいの方が楽しい。追い詰められた時に目覚める。安心と不安、この二つがキーワードだ、安心と不安、赤ちゃんと大人、大人の中に赤ちゃんはいるし、赤ちゃんの中に大人はいると思わないか、きちんと入っていると思わないか。理由もなくありふれた価値を転換させながらまばたきを数回繰り返しながら今というこの瞬間に最適な言葉を探した。ぼくは今入っているのだということを意識する。お母さんが名前のない草を踏みつける。すりガラスの向こうから不明瞭な輪郭の悪魔が見ている、それは恐ろしいことでも、悲しいことでもなく、真っ白な元風景。ぼくは名前のある花を踏みつける、そのとき、何か間違っているような気がする。悪意に閉じられている部屋のしっかりとした壁を確かめる、喜んでいたいと大声で言う。理由もなく道を走り出す、疾走感が頭蓋骨の内側に染み出す、じわじわと追い詰められるように、手足を硬直させたままもっと深い黒の中に入って、もっと名前のない草を踏みつけるお母さんを見たいと思っている。そばにいてください。籐椅子に座って編み物をしていてください。雪が降った日に窓を開けて、氷点下の風に身震いをしながら、一緒に驚きの歓声を上げてください。カラオケでぼくの好きな歌を歌ってください。高層ビルの屋上から飛び降りるという夢を見て、高層ビルの屋上から飛び降りるというイメージを抱きながらその日の暮らしをして、高層ビルの屋上から飛び降りるという体験を言語に翻訳して。おっぱいだ、純粋な。クリスマスソングが流れている。街は快楽に溺れ薄汚れている。カラスが飛んでいる。ギャングが群れている。今なら誰も見てないし、影になってみようか、80%くらい、そう思ってぼくは薄黒くなる、ぼくの輪郭が、ぼくの皮膚が、掴みどころのないもやもやしたものに変化する、ついなんとなく不快感を覚えてしまうような外観になって、それに付随する匂いを放っている、つまり、意図せずぼくはぼくの存在をアピールすることになる。常に回転し続けている、この街。クリスマスソングが流れているよ。車に乗ってどこか遠くに行きたいと考えている、その様子を思い浮かべて目の前の景色と重ねる、重ねながら歩く、移動する。たくさん飲んだら間違いなく体調が悪くなる変な味の風邪薬を飲み、自分自身の匂いが染み付いた最悪なマスクの裏側で咳をして菌類をキャッチアンドリリースする。暴力の痕跡を探している。それは視点を変えればいくらでも見つかるし、適当に感動しておく、特に人のことを記号だと感じる瞬間に、思考を凍結させる、無難にね。熱を放射する奴を許さないと感じるときがある、テレビを消した方がいいと思う。天国への階段を適当に登って、今だっていうタイミングがあるから、できるだけ派手に転げ落ちる、全身を骨折して身動きが取れなくなった時になって初めて、お前の人生が始まるんだ、お前だけの音を奏でて、お前だけの色を混ぜる。たまに祠をめちゃくちゃに壊したくなる、そして俺はこんなこともできるんだぞという風にSNSに報告したい。変なポーズをしながらベルトコンベア上を流れる人。人知れず熊と格闘する人。オフィスレディーと客引きのババアのコラボ。自殺志願者と中学生のソテー。滞空時間を競っている時間になって初めてぼくはぼくの面の皮を剥がし初めてそして間に合わない料理の時間は了解を得て何もかも焼き尽くしたゴジラと共に海に帰る、そう海に帰るんだ、象徴的に、より猥雑に、触覚や性器の神秘をにょきにょきと伸ばして雨の日に、雨の中で踊り泥の中に刺さる。ぬめってしてる感触がぼくに教えている10のこと、それを言葉にして君に100%伝えることができたら、その瞬間にぼくは霊的にステージアップして、苦しいことはそんなにもなくなるんだろうな。窓際に頬杖をついて幽霊の行方を眺める、だんだん夜が親しい顔をして、何か意味不明の約束事を取り付けて、抽象的な繋がり、連帯感を競いあっている。ぼく以外誰もいない部屋でぼくが消えたら。犯罪者になったら。上手い料理をつくってくれ、だからあいつはといつも失望の顔を絶やさない先輩の醜い骨格をバキバキにして創作活動をしたい、強く突き動かされる気持ちが変態に希望を与える、大丈夫だよ、ここにいてもいいよ、君はどこから来たの?優しいお姉さんの顔面、それは白い、それはあらゆる意味で汚したくなる、それは凝視することによって分解されていく。ぼくの身長は1メートルに満たない。虫に比べれば大きく、大陽に比べれば小さい、風呂上がりに飲むコーヒー牛乳は最高だ、この最高という気持ちをいつどんな状況でも脳内に再生できるように準備しておかなければならない、そしてぼくは、赤子に比べれば大人で、老人に比べれば若い、それは一つの真実なのだが、真実を数え上げていてはキリがないので、蝋燭に火を灯そう、この火を吹き消した時あらゆる理屈も一緒にふっと消えるよ。壮大なかくれんぼが行われていると感じる、まずぼくは鬼のことを知らない、そして隠れている人たちのことも。だけどぼくたちは海を隔てて繋がっている、そう感じる、元々は一つだったんだ、言語も、アイデンティティーも、複雑な形を取っているけれども、最初それは完全な円だった。別れた女のことを思い出して嫌な気持ちになるよりも、かくれんぼを続けた方が楽しいことは明らかだよね。不都合な滑り台の下で粘膜だけを刺激して何かブヨブヨした分裂する生命体に生まれ変わりそうな夜に、その動悸を極限まで感覚しろ、心の中にプログラミングされているグロい言語、パターン化されているマーブル模様が溶けたり混ざったりしていく過程をすべて口から吐き出せ、大きな影が覆っている夜に、街灯が灯ってその光によってさらに深くなっている濃い影の中に入って、土に、砂利に、地球に、吐瀉物を、一定のリズムに合わせて、太陽と月の周期に揺すられて。お母さん、上手にできたよ。お母さん、ゲロを吐きました。高熱で遊べ、遊んでお金を稼げ、新しい人たちの新しい体温と匂い、施設の壁の白さの度合い、何を相談したいのか土壇場になってわからなくなってしまって困っている顔、沈黙のぎごちなさは親譲りだ、他にも譲り受けたものがいくつかある、そのことをぼくは最近知った。この快感は親譲りだろうか。この至福は親譲りだろうか。たくさんの病気についてたくさんの解説が加えられているたくさんの本が本屋さんの棚にたくさんある。君の中身が見たくなった時ぼくはどうすればいいのか。君の中身を見たとしてもぼくの目が悪いのなら意味がないという虚無感に飲み込まれて何も見てないのにどうでもよくなる。音は時間の流れに乗ってたくさんの種類が飛び込んでくる、ぼくは自分を催眠にかけて、それが正しい音じゃなかったとしても、そこに何らかの言語を用いない説明を見出だして、その音に従って生きる。はいどうぞ、手渡してあげる。耳と目が分断されている。耳と目は違う世界のようにそれぞれが独自性を持ち勝手な動きをする。ぼくの中に感情を認めない、指先にぎゅって力を込めて小さな蟻を潰す、硬い殻が破けて中身が飛び出して液体に変わる。ぼくは覚悟を決めた5歳。おっぱいに挟まれたい。もしくは最悪の場合無関係の命を断ちたい。自殺をするくらいならシリアルキラーになって濃密な体験をしようと思っている、雨の日にそう思う、雨垂れを聴きながら、経験によって調合した鎮静剤を噛みながら。温度を忘れていくから、温度を思い出させるものを。忘れるのはすべて存在しない君のせいだと思ってぼくは気合いを入れながら歩き続ける、邪魔をしないでくれぼくは家に帰るんだ、それだけだ、唾を吐き捨てて水溜まりの奥深くに沈んでいく細胞と皮膚感覚の一部。ずいぶんと冷たい袖口をこすりあわせ、横断歩道には大道芸人と公務員とベランダの観葉植物がひしめき合っているけど誰もぶつからない上手く避けるから。宿命付けられている、上手く避けて身体感覚を崩さないその動作を、子宮にいるときからシュミレートしてきた、海を渡る笑み、YouTubeの真実。冷たい匂いだ、ああ冷たいよ、ゲシュタルト崩壊だ、過去現在未来、そしてそれとは全く異なる次元、鏡の中、病室の、独りという現象の中、竜巻の中。震えてもいいんだよ、子供みたいに泣いてもいい、だってそれは自然なことじゃないか、地震が起きてもいいし、雷が鳴ってもいいだろ?別にいいだろ?質問してもいいだろ?はしゃぎ回ったっていいだろ、観光地では。君の手を傷つける、手を繋いだまま、ほらつねる、痕が残る、君は少しだけ泣きそうな表情になって、でも静かにしている、そうだ、いい子だ、君は静かにしているんだよ、そのことを全世界の男と女に告げたい、ぼくは自慢したくてたまらないんだよ。だけど大丈夫だよ、コーヒーを飲もう、ケーキを食べよう、暖房をつけて、クラッカーを鳴らそう、ぼくは解放されている、ありがとうありがとう、もう塀の中には戻りたくない、保護も観察もされたくない当たり前だろ、ばか。社会という名の猿が欲望の解放のさせ方について何か言った。それはアルバイトの研修ビデオに似ていた。

花を凝視すると花じゃなくなっていく

素敵な物語を創作し続ける夜の騎士たちが立ち止まった光と光のブレが一定になる0磁場、愛がにゅっと産み出される、にゅっと。破壊と光は一体なんだ、そのことをどんなメタファーも介さずに、マジで直接関知していた。だけどあまりにも小さくて速すぎる、そして多すぎる、遠くから見ざるを得ないよ、ぼくはどんどん君から遠ざかっていく。月が照らしているということも忘れて、単一の時間の檻の中に、閉じ込められて、生き物が存在していないという錯覚、もしくは真実、どっちでもいいけど、とにかくそういった概念というか感覚があるんだから、それをなんとかしないといけないんですよね、先生、きっと性的なものだけじゃ足りないんですよね。それは血と連結しているから。悪魔が笑うと面白いことになってしまうから、ぼくは、インスタ映えのするドーナツ屋から、通りを眺めていた、そして、何か良くないものが通り過ぎるのを待っていたんだけど、それよりも早く眠気が来た。抗うことはできないだろう。好きな夢を見るといい、仕方がないんだから。ノイローゼ集団の一員になってしまう。台風の日に敢えて外に出るような気持ちで。憂鬱は憂鬱のまま、細長く空高く延び続ける。寒さが寒さのまま自分の殻の中に閉じ籠り始め世界中で逆再生が起こり始めたような気持ちになった、取り残されているのは誰だ、ぼくは神の声を聴いたような気持ちになる、そう、それはただの気持ちだけれどもぼくは今すごく集中している。核分裂がリアルに始まっている、空がリアルに割れている、魂に翼が生えて勝手に飛んでいく、鮮やかな飛翔、マジでやめてくれと思うときも少なくないけどもういいよ。ぼくの存在は犯罪だけどまだバレていない、という気持ちになる。監獄を持ち歩いている。戦時中でもないのにあたこちの地面に穴を掘っている。言語が恐ろしい速さで旋回しながら通りすがった人間の肌を傷つけ、それでも決して失速しない時、人は、朝から夜まで、朝から夜まで、透明なバリアを柔軟に変形させて、対応している、その形が一つの答えであって、その形が一つ結晶であって、海の氾濫に沈んだ街を新宿都庁から眺めたいと思った。奇跡的に空を飛ぶことができて助かったぼくとぼくの数少ない仲間たちが、もはやリアリティーの欠片もないミニチュアの街を上空から、呼吸をして眺めたいと思った。すべての意味がその眺めに収束されるまで、ただ呼吸をしていたいと思った。餌を探した方がいい。嫌いなものが一塊の集合体として必ず現れるからそれを撃破したいけどかなりその大切な太陽が笑わないときに、虚ろだ、どうでもいい。どんどん遠ざかる馬鹿と馬鹿の風景の真ん中で目を覚まして、静止したままスピード感だけが徐々に上がっていく、色と色の音を、放っておいても勝手に混ざり続けるそれをさらに手で掻き回して、君の手のひらにすべての感覚が集まっていく、モノクロになったり、光ったりして、一定ではない、だけど綺麗かもしれない、もしかして大発見かもしれない。ドーナツ型の内臓の中から、聴いたことのないような鳴き声が聴こえる、腹の中で何を飼っているんだよ、問いかけたい、君の腹の中の獣というか虫の燃料はなんだ、一体何をしているんだと。それについて議論を戦わせたい、ディスカッションを、行いたい、何故なら、数少ないけれど仲間がいるから、きっとコミュニケーションを取ることができるだろう、ぼくの表情筋がヒクヒクと動き始める、多分この瞬間のために、あんなにも痛い思いをしたんだと、必要悪をくぐり抜けてきたんだと思いたいですよね誰しもが、存在の存在感ていうのが、これが大事なんですね。どっかの誰かの涙が世界を変えてしまったらどうする、どっかの誰かの自殺の痕が、この世界の色をすべて塗り替えてしまったら。この世界がすべてアニメーションになってしまったら。ゴジラかそれに類するもの、抽象的なそれも含んで、現れた時に、それぞれのぼくたちは、どんな風に戦い、どんな連携を取ればいいのか、メタファーだけどメタファーではない、飯を食わなければいけない、汚染されていても、飯を食わなければ死ぬじゃん。大変なことになりたくないよ、細胞がざわざわと騒いで、心臓の一音一音が苦痛だ、身をよじるほど、うずくまるほど、夜は明けないし雨は上がらないことが当然のように、いつまでもしつこく、図々しく、居座り続けるもやもやとした幽霊と幽霊を存在させるエネルギー、それは確かに資源だけど、嫌だ、繰り返し信号を送る、定期的に信号を、送りまくる。重力の方向がランダムに切り替わり、慣性の法則はディレイ、たくさんの音が混ざりあって、その海で、宇宙服を着たぼくは、自分の姿がわからなくなって、もうすぐ記憶をなくすかもしれない、でもそれは普通だから、それでいいのかもしれないし抗う術はない。普通の意味を知る。ここにいながらここにいない。祝福された道を小さな子供が駆けていく。楽しそうな夕方に、空の凹凸が、応える、ころころと転がる雲が、目に見えない風が、浸透して、意味の内部にまで染み渡って、脳みそを冷やしていく。花を凝視すると、花は花じゃなくなっていく。大体そんな感じ。手頃な果物を食べたい、犯罪者と浮浪者が、円になって、キャンプファイアを囲め、どこかに行きたい、蠢く虫の広大な内部へ、レベルでも上げながら、適当な雑魚と戦いながら、花は花じゃない、花じゃなくなった花に名前をつけよう、いややっぱやめよう。ぼくはレットイットビーと言った。破壊。うんざりするすべてにロシアより愛を込めて、弾道ミサイルを発射する、海を越え、空を走り、変な音を立てて、奇妙な痕を残して、加速していく。それは祠を壊す。おばあちゃんの家を壊す。憎んでいるもの、愛しているもの、無造作に一体になる、あまりにも雑だ、悲しみも喜びも、てきとうにブレインミックスする、乱暴に、有無を言わさず、白と黒だけがはっきりと際立ちすぎる。太陽の光ではない、太陽の光がつくる影でもない、何か全く別の生態系が生まれて、ろくでもない、だらしがない姿勢で、存在自体が攻撃の、武器みたいな生き物、プラスとマイナスみたいなもの、そのエネルギーの循環は交互に転換する、様々な信号が様々に点滅して何を知らせたかったのか忘れる、言葉は、伝える前から溶けていく、脳を凝視すると脳じゃなくなっていく、ぶよぶよした豆腐みたいになる、別にいいじゃんという声が聴こえる、似たような声が他にもいくつか、深層部から沸き出してくる。ここは天国じゃないけど地獄でもないってブルーハーツの人が言ってた。たくさんの情報を処理しきれない小学生が、ランドセルを背負ったままうろうろしている、この姿だって破壊の一つの形かもしれないし、彼の感情は暴力的な色だ、その予兆、虫の知らせ的な、不確かだけど変に鮮明な、もうそろそろ諦めたい、隠されたまま、眠りたい。個人を排斥する集団の作用をよく知っている、それは物理法則のように強い、あまりにも当たり前すぎて逆に隠されている、わかっているけど、それを表現する機会がない。最悪の中で遊べ、最悪の学校で可能な限り学び、積み重ね、積み減らせ。不思議な人たちに出会いたい。魔術のアプリをインストールしたい。魔法使いだと思えば魔法使いだし、宇宙飛行士だと思えば宇宙飛行士だよ、躊躇うな臆するな、回路を鮮明に保つんだ。通りに溢れるすべてのイメージのパターンをサンプリングしていく、誰かの記憶の中に入って、遊ぶお化け、クラゲ、たくさんの種類の波に揺られて、酔いながら。ふざけ続けている。嫌悪感の核を分裂することによって発電している。ヒトの耳には聴こえない美しい音。体内に数種類のポリリズム。過去も未来も全部ポケットに突っ込んで歩き出せ、男、女、出会わなくていいから存在感を享受しろ。電波を、メッセージを、正しく受信しました。粒子の綻びが、今から一秒間の逆再生が、記録された。廃墟になった寺院に反響して無限に増幅し続ける廃墟になったシステム、眼がないからと言って視るという行為をしていないとは限らない、夕暮れの皮膚が、ざわつく。増えていく得体の知れない感情をどうすることもできないまま、今日が終わってもいいし、味わう、血の味を、ちゃんと、喉の奥で。沈めながら溺れていた、台所に立っていた大きな影、家中を走り回る小さな獣が、曖昧にしていく、息、孕んだ命、水から這い出た瞬間に、重力に押し潰される。大切な呼吸、そうでない呼吸、明るい太陽、そうでない太陽、ぼくはいつも間に挟まれて、父と、母の間に、柔らかい悪意を受ける、呼吸する。空間のパズルを一つ一つ外していく、裏側にある染みをよく見て、それを覚えていることにする、風の体積を正確に把握して、家に持って帰る、窓際に吊るして、生活をする。誰のためでもない言葉がゆっくりと旋回しながら、点滅する、虹色の傷口の中へ吸い込まれていく、透明な血液が、床下浸水、鼓動はちゃんとしたリズムとして、震わせる、肉体の中の大きなものや、小さなもの、お皿が割れる、柱に亀裂が入る、おもちゃが空を飛んでいる。愛しているかどうか質問されて、愛しているよと答えたい、是非。秒針の音が純化されていく。完全性ではなく綻びを描写したい。過ぎ去った人々のこと。無に限りなく近いもの。恐怖と隣り合わせだ。不快感が這い上がってくる。内臓から、喉元まで、良くないものが、あってはならないものが、込み上げている。背筋が曲がっていく。空気が凍りついていく。そんな状態で、触れる。真っ黒い壁。ぼくの背丈より少し大きいくらいの。乱れた気流で、話しかけている、応答はない、構わない、口のなかで噛む、甘い、動物的本能のアクセルを踏んで、道路で潰れたトマト、正反対の季節を思い浮かべて、何故警戒しているんだろう、痛みを受けることは、最初から免れない。愚かだった。架空の、孤独の王様のイメージを持っていた。意味の伴わない英単語を覚えた。部屋の中で必殺技を使った。しかし、誰か殺したい人がいたのだろうか。必殺技では、人を殺すことはできない。段々どうでもよくなっていく、故郷の風景とか傷ついた出来事を、回転させ泡にまみれて、たまらなくなって風を切るような、少年の、徘徊を、許してくださいと、あなたに、向かいながら、春、日付の上だけで踊っている、自分の影がこれ以上ないくらい鮮明に見える真昼の公園で、正体不明の生き物と背中合わせになって、声を出すことすら臆する。洞穴の中にたくさんの物質を並べて、遊園地を開園する、他にはない、こんなものは、ありえない、そういう感覚を研ぎ澄まして、みたい、ざわつきたい、愛と暴力の虚ろな、はいはい、と言う、子供に向かって、子供に対峙して。お前の目は、逆立ちをして、すべてを下から眺める、その風景を肯定するか否定するか、自分を保てなくなるか、一番言わなきゃいけない言葉は常に何らかのバイアスがかかって、スクラップにされていく、記憶をどうすることもできない、勝手に遊離している、馬鹿だ、惑星の運行に付き合いきれなくなってしまうじゃないか、何も言いたいことがない。ビジョンがない。ぼくは鳥じゃない。君は虫じゃない。俺は魚になれない。俺は、巨大化させられて、背中に複数の生殖器を移植された、鼠だ。電車の中から虹を眺めてみる、少しだけ特殊に加工された音声の中で、無力化させられる様子を見る、カメラが切り替わって、目まぐるしく、だけど静かに、そうっと、泥まみれで、だけど清らかで。半分以下です。メロディーは、正反対のものを、同時に教える。はらわたを引きずり出したくなってしまう。いや逆に溺れてしまいたい、身体から変な草が生えてくる、全国のみんながこわい、炎が、赤く染めている、もう骨が見えてきている、多摩川沿いを歩きながら同時にオーロラの中を探検している、虫と虫がひっつきあって歓喜に震えている、ぼくはその中に入っていきたいのに入っていけない、奇妙なおじさんが言葉ではなく直接語りかけるような目をして、不安を煽ってくる、ぼくは誰かを攻撃しなければいけないんだろうか、ぼくは誰かを不幸な目に合わせなければいけないんだろうか、鳥居の中に入っていく、繰り返し入っていく、いつも入っていたい、何かの中に、空の中や、海の中に、おっぱいの中に、細胞を弱く振動させながら、腐っていく指を、その中にしまいたいから、羽ばたけないのだろうか、羽ばたけない事実を気にしてはいけないのだろうか、ぼくには能力がない、磁場がゼロだから、いつの間にか淡くなって、気づかぬうちに緩くなって、糞尿を垂れ流している、そう思う。誰ですか、周りに迷っている重さのない人たち、文字化けした言葉たちが、突き刺す、何を?水とか、火とか、温度だけの存在。うるさい。遠くになった愛の巣Aで、修行をし続ける生き物が、墓を作り続ける生き物が、まだ残っているけどそのことを誰も知らないし、それについて語るべきことはもうない、歴史に何も位置付けられない、マザー・テレサ、丁寧にほどいていくだけ、紐を、閉じて、だらしなくへたりこんでしまった人の、口の中に、突っ込んで、抉り取るように、ただの暴力を暴発させるのはやるせないと思う、救いについて考えてみたい、長い時間をかけて、たくさんの人のことを詳細に思い出しながら、どうすればいいんだろう。おかしくなっていくのは君のせいじゃない、君がこの世界に存在してしまったことについて、君に責任はない、明白な欠如が、全世界の肉体に訴えている、完全な時間を経験したことがあるから、欠如が気になって仕方がないんだろう。切り傷を撫ぜる。とりあえず死ね、と言う、とりあえず死ね鳥、ホームレスに石を投げる子供たち、とりあえず、死ね、言ってみただけです。屋上から飛び降りる、繰り返し、何度も、屋上から落ちていく、肉体は老いていき精神は遡っていく、屋上から飛び降りる繰り返し何度も何度も、いつまでも、終わらない、今日のノルマがいつまでも、今日のカルマが、いつまでも払えない、存在が溶けていく、気持ちがいいゲロを吐く、誰とも会わなくてもよくなったら終わりだ、屋上から落ちていく、ゆっくりと。地面はまだ遠い。その間に存在が溶けていく、あの、色とかが、こういう風に、夜景がブレて、曲がって、現実感を喪失、携帯電話の中にいるような気分だ。 連続性を保っていられる、ということが肝要だと思う、道に散らばったすべての破片の中に、自分がいる、性欲や睡眠欲、言葉をなぞりながら、段々と本気になって、暴力的になる、トラックが増えすぎて収拾がつかないから、ああ、あれとかも、圧縮して、都合のいい存在、意識を冷ます、水につけて意識を冷やすよ、歪な回転。胸の中心の扉が開く、麻痺、痛みを感じない、スピード感、お腹をもっと膨らませて、大丈夫です、断る、バサバサ断る、切る、チョキチョキ切り続け切り続け切り続ける。チャチャチャのオモチャになりたい。晴れたら海を見に行こうと言う。ほどけていくけど気にしない、忘れていくけど気にしない、逆再生だっていつでもできる、離ればなれの粒子、汚れない、ほぼもうない、液体、ふわふわの綿菓子を頬張る、無敵だ、何が襲ってきても気にしない、手足がピリピリとしびれている。東京スカイツリーからミニチュアの街を見下ろしながら、今この瞬間に処女を失った少女は何人いるだろうかと考えた、70人、と君は言った。君は虫じゃないよね。悪が渦巻いている、それを描写していく人も、同じように渦巻いていく、そのモーション、そのモーメント、奪え、反響する、奪え、すべてを自分の体内の一部に。夕日ってさ、綺麗だよねっ。吹雪。呪いがかかっている、反対側の聖書が突然に、示唆している、奪え、奪われろ、支配しそして支配される、愛がある、必ず愛があるよ、見下ろし見下ろされる、見上げ続けて首が疲れてきて血流が滞り始める、脳みそが萎びていく、夢を見た。何か白に近いものを共有するイメージ、弱々しいコミュニケーションがあって、肯定した、それをぼくは確かに、遠くで火が燃えていた、それから、窓の外を通る人々をずっと見ていた。泥と傷にまみれた母親と子供がいる。子供は、足が疲れたと言って泣き出す。遠くで除夜の鐘が鳴り出す。雪が降る。外に出ようかどうか迷っている。なんとなく、心の中に、ざわざわとした不鮮明な動きがあったような気がする。君が、ぼくのことを心配そうに見る。

何らかの曼荼羅

揺れる窓カタカタ、うんこを食う君は、目を真っ赤にして、どこかに繋がっている涙をマーキングしながら歩く、そして一秒と一秒のわずかにあいた隙間から異次元に侵入、その懐かしくて新しい匂いを全力で嗅いで、今まで自分が辿ってきた時間の集積を曖昧にする。速すぎて無意味だったけれど、繋いだ手の温もりがぼくの無意識に呼び掛けるものがあるとすれば、それは針の先端の痛ましい記憶、孤独な家、海に飲み込まれる子供、など、呼吸を乱していくすべてに復讐を企てるたくさんのイメージだった。いつかそれをヤフオクに出品する時が来るだろう、だがその時こそ所有という概念が浮き彫りになる瞬間だ、全身を自動的に駆け巡る悲しみの熱狂、何らかの曼荼羅。ああ君はなすすべもなくうんこを食い散らかしていて、生命と生命の嘆きの永久機関について語るべき言葉を持たない、コンピューターウィルスに侵食されているんだよ、だけどその徐々に侵食されていく感じがまたたまらないんだ、豚のように鳴き、猿のようにマスターベーションをする、昼下がり、このなすすべもない感じが最高なんだ、アメイジング。閉じた部屋について描写する箇所がいくつも経年劣化を起こし狂喜する人間を固定したジェットコースターが根元から分解していく、太陽や月が意志を持っていると想像したことがあるか、遺伝子の配列がどのような存在の基本的な言語だと考える?よし、いいぞ、まずは走り続けろ、その足が餓えて腐るまで、これほど簡単なことはない、粒のように、そして泡のように、弾けたりするかのように、ぐんぐんと空に近付きその躍動感に巻き込まれた昆虫を食べて、生活をしろ、朝と昼と比喩と凍る夜と夢のことだよ、考えるな!!考えた瞬間にお前の首と胴体をギロチンが隔てる、としたら人類の知能は、どのようにして利用され得るであろうか。恐怖と愛。強風とわたし。恐竜と破壊。今日と明日。いいか、ぼくは君を絶対的な真実だと規定するぞ、その瞬間空に強度を持った透明なダイアモンドが浮かび上がり、そのあまりにも深い透明さが当たり前のように放射されている光を全方向に反射させ特別なものにする、すべての混ざりあってぐちゃぐちゃになったうるさい音の群れを、整理し、宇宙を漂う淡い色の雲のようなコードに沿って配列し、停止した季節のねじを、ゆっくりと回す。白い至福感、洗濯物がはためいて、コミュニケーションのために必要な言語野の力みを抜いていく。輪になって踊っている小さな者たちを許そう、日陰の幅が変動していくそのリズムに合わせてどこかにある無関係の粒子が驚き、日々にささやかな添加物を乗せていく、わたしは地面になった、冷たさを体現している、狂おしい苦しみを埋めていく、身体を強く揺らしながら、オルガズムの端に触れる。ものすごく破壊を感じたくなってしまった時、血液はじんわりと冷やされ、ボリュームを上げていくスピードの中で、生き物とそうではないものの中間に位置する温度や輪郭を意識しながら、割れて飛び散るガラスの破片の一つ一つにその意識を投影するような気持ちで、巡り狂っている時間に対して質問をする。恐ろしい音。お揃いの恐怖。光の速度が遅すぎてよろける、ぼくの身体が何かの一部に変貌してそのまま飲み込まれていくみたいに、水面下で進められる計画、ぼくが日差しの下で本を読んだりジュースを飲んだり痒い部分をかいたりしている間に、悪魔みたいな植物が成長して空に届くのを見るにつけ、不思議に爽やかな怒りが湧いてきて健康になる気がする。美女が身体をくねらせてねえもっとちょうだいと言う、そんな気持ちだよ、ああそんな感じだ、夕暮れの薄闇、弱すぎる音の波で呼吸を麻痺させて、もっと大切な記憶を忘れよう。通りを歩いている全員に対してお前は俺にはなれないんだよと教えてあげたい、だから何も確かめる必要がない、今から俺には透明な翼が生えていると信じて空を飛べばいい、風景が震え始めるくらいに音量を上げていけばいい、欲しいものをすべて買いまくって完璧に完成された部屋をつくればいいじゃないか。