日報

あるいは遺書

りゅう

これからは本当に思ったことだけを言おうと思う

優しい人を怖がらせるような凶暴性を俺は持っていると思う。なんというか、とても残念だ。俺は誰よりも優しい世界を望んでいるっていうのに。大体において自分から距離を取る以外に成す術がない。躊躇もなくいきなり他人を傷つける人間は絶対に許せない。本当に優しくなりたいのなら許さなくちゃいけないんだろうけど。でも俺はお前らのアンチテーゼとしてじゃないと存在する価値がないとまで思う。おい俺がいつまでも黙ってると思うなよ。残念だけど、本当に残念だと心から俺も思うけど、俺は、傷つけられても黙って耐えられるほど、愛の絶対量が多くないんだ。消化できないまま少しずつ狂っていって、最後は多分死ぬか殺すかになる。その前に俺は音楽に心を託そうと思う。音楽は聖域だから。音楽はお前をぶち殺す武器になる。人間は現実世界だけに住んでいるわけじゃない。俺は俺の優しい世界をつくるんだ。お前らの一部として消費されたりしない。くだらない役目かもしれないが、俺には生きる意味がある。俺は幸せにならなければならない。やるべきことがあるんだ。やるべきことをやるんだ。俺は歌をつくれるんだから、つくらなきゃいけない。物語に拳銃が出てきたら、必ず発射されなければならない。ああ、俺も、敵を設定しないと安心できない弱い人間の一人か。誰にも縛られず旅人になりたいんじゃなかったのか。またいちいち戦ってしまう。めちゃくちゃな渦に引き込まれる感覚。これが生きるということか。でもとにかく進むしかない、間違っていても。実際、間違っている気しかしないよ。もう俺の人生は狂っている。仕方ない。でも多分、どんな生き方をしても俺はそう思ってしまう。だったら進むしかないだろう。あらゆる間違った道の中で、一番素直に心惹かれる方へ。これを完成させなければ俺は……と思えるような曲を今抱えている。柔らかく包み込むような、午前3時に目覚めて夢の名残を反芻しながら天井を見てる時みたいな不安定な安心、大切なものを大切に扱おうとする意志、そんな曲。この曲が俺の道標になる気がしてる。今の段階で完璧なクオリティは求めない、とにかく実際に歌った時に自分の中に違和感を残さないように、魂を乗せる下地をつくれたら。と思っている。今週高知に帰る。5日間くらいの間で、施設にいる妹と、母と、離婚した父と、母方の祖父母、父方の認知症の祖母、あと親戚数人に会ったりする。普通に帰省する予定だったけどなんだかんだで色んな人に会うことになってしまった。なんというか、覚悟がいる。俺は未だに、家族とどう向き合えばいいかわからない。憎しみというそれこそ仮想敵を設定する単純な記号に逃げていた時期も長かった、けど今となってはそれすらできない。何故なら親への憎しみは自分への憎しみだから。覚悟ができているかどうかはわからないけど、このタイミングでそんな日がくるのも、偶然じゃない気がする。何かが変わる。変わらない人なんていない。人は1秒ごとに変わり続けている。引き返せる場所が振り返ればまだ見えるか、もうないか、それだけの違い。心はだんだん酷くなっていく。でもそのぶん音楽がだんだん美しくなるなら、いいや。