日報

あるいは遺書

りゅう

俺はテープレコーダーだ

ここにないものをまずは想像する。集中して、手を伸ばして、掴み取る。疲れたけど大丈夫。明日はない。喜んでいたい。音もなく壊れるおもちゃたちの共同幻想のテーマパークで、夜に開く夢、汚いガキの。かなり不安定な船で山へ登ろう、ぷかぷかと、空気の振動。途切れがちな声。親を悲しませるガキ。潰れるまで真っ直ぐに正直にいられればよかったのに、花模様があんまりにも綺麗で、何も信じられなくなってくる。深く潜って、戻れなくなっていく。屋上のささやかな庭園、ベンチがあって灰皿があって、太陽光で自動的に徳が積まれる式の宗教的な祭具。100円ローソンで焼き芋を買って、どこまでも歩き続けたい、また、影のように。右足の次に左足を出すという動作を飽きたことがない。同じような道がこの世の果てまで続いている。観光地はつくられている。観光地は編集されている。老人になればどこにも行けなくなるのだろうか。狭くて臭い部屋にこもって名探偵コナンを見続けているしかないのだろうか。足腰は頑張ってほしい。対話する存在としての自分に頑張ってほしい。期待している。寂しい子供は遊具の上で夕日を暴力的なほど綺麗だと感じ取る感受性がある。5歳ですでに時の速さを実感している。おじいちゃんとおばあちゃんに会いたい。海に吸い込まれて誰でもない人になりたい。だらしなく降り注ぐ太陽。ゆっくりと壊れていく今日。挨拶をしたいよ世界中の動植物や虫や鳥や魚のひとりひとりに、ちゃんと目を見てわかりたい。このまま全身で溺れていくのなら、最後にもう一度無関係な歌を歌って。許してあげたい。そのような感情は毎回数式の中に組み込まれて、よくわからない歯車の一端になって、DQNを殺す。手紙を書いてみようふざけた人間に。夜を泳げばもう何もかもどうでもよくなっちゃって、今から車を借りて天城越えをしたい、免許を持っていないけれど。最低な昼下がり、そして最低な夜の使者、何故どこにも行けないのか。言語を使って、何故どこにも行けないのか。それは免許を持っていないからだ。就活をしたことがないし、受験勉強もしたことがない。そんなものは最初から存在しないのではないかと、ひそかに疑っている自分がいる。そんなことでいいのかとよく思う、たとえばファミリーマートでレジを打っている時に、怒りが燃え上がる。刃物を持ち歩かないようにしよう。情熱を大切にしよう。白線の内側に下がって電車を待っていよう。情熱の真っ赤な薔薇を枯らさないように。同時に、刃物を持ち歩き、白線の内側に下がらない自分の姿を想像する。セルフイメージがめちゃくちゃなんだ、思春期特有の病。だが、言う。俺はテープレコーダーだ。詩人ではない。普通の人々の普通の生活をして死ね。みんながみんな金に取り憑かれている。当たり前だ、子供じゃないんだから。技を繰り出したい。リアリティーを失ってもお腹が空くんだ、実際に。精神的にも肉体的にも、比喩表現は通用しない。どのカテゴリーにも入らない、実際は。とぼけていたくない。白黒はっきりつけたい。必ず消えるおはよう。顔が歪んでいく。悪魔みたいな生き物が窓の外を眺めてる。窓の外にはゆったりとした終焉が広がっていて、何もかもは僕の手に余った。君は君の今日に満足できただろうか。寝ては覚めてボロボロになる。マインドはしっかりと強く更新されているか。次のページでどうなってしまうか怖い。許しと許されに関心がある。罪と罰を理解できない。速さが。真っ白な壁に囲まれた机に向かう。途中で投げ出した夏休みの宿題を、15年後の今、片付けなくちゃいけないから遊べないや。色んな人がいるけど気にしてない。ゆっくりと屋上から落ちていくような生温い気持ちで。ハートちゃんの片っぽのギザギザが皮膚に食い込んで痛みという名の真実を感じるんだけど、君は今どうしてる?風呂入ったか?ぬるぬるの海が生き物のようにくねって、真実は空間ごとねじ曲がっていく、だけど、そんなもんだ。動きすものをずっと見ている、真っ白な頭の中で。この身体の中には白さしかないんじゃないかと思って、気味が悪くなる。どうでもいい悪口を言わないでくれ。本気のノイズがないなら、もう生きている価値もないよ。もう二度と会えないって本当なのかな。ずいぶんと安全な場所で自己破壊をしているな。兵士たちは樹に登る。何人も、何十人も、空まで登っていく。あの中に自分はいない、それは何故なのかを考える。答えはない。変わらない景色を殴っても、無数だから意味がない。限りなく薄汚れた0に近付く小数点以下の君の人生。今まで何をしてきたのか。あらゆるタイミングを逃し、あらゆる感情をなかったことにしてきた君の中途半端な人生。シュールレアリスム。不条理。あるいは馬鹿。線が見えていなければ、一線は簡単に超えられるわけで、スイカ割りのように、目隠しをして歩けば、誰だってよろめく。全くもって重力に縛られない言葉が空を飛んでいく、ムカつく。僕はあいつと同じような感じになる。僕はあいつと似たような軌跡を辿る、なんとなくわかっていく。銀河鉄道の夜はどこにある。暮らせども暮らせども、中途半端な部分が広がって、部屋を片付ける気も失せる。怒っているのは誰ですか。精子の匂いがしてしまう。外で遊んでいる子供のグロテスクな部分を太陽で濡らして、墓標のように地面に突き立てた。もう充分だろうと思ったが、コントロールを失った玩具の僕は、アクセルとブレーキが反転して、あらゆる価値が転換して。絶対にしてはいけないことを絶対にしてはいけない時に絶対にやる。どんな決断も必要なく、放っておくだけで、たくさんの破片が飛び散って、風景の中に深く突き刺さっていく。でもそれさえもバクテリアが分解して循環の巨大な胃液に溶かされるのなら、ますます今この瞬間は意味のわからないものになる。それを好きなマニアがいて、それを金にする実業家がいる。とにかく、新宿駅は多くの人間が行き来する。家に帰りたくない人や、家がない人や、女の子やおっさんたちが。その全てが実はコンピューターで制御されていると知っても、あからさまに驚く人はそう多くないような気がする。東京と言えば砂漠を連想するのは、対義語同士は遠い昔、一つの同じ概念であったことを証明し、また象徴しているではないか。わかったわかったと繰り返す享楽的なおっさん。クズと呼ばれても気にしなければいいし、頭が悪いことを誇りに思えばいいじゃん。ラスボスは自分自身で、巨大に広がって空間と同化した影が、主人公を飲み込んで、終わりのない戦いの中で、不規則で不明瞭なリズムをずっと感じさせられている。それは聖戦なのか。ワンピースとかみたいに涙をボロボロと零したかった。この気味の悪さはなんだろう。素晴らしいものが一つもなくなった時に、どうするんだろう。アンテナを宇宙全体に張り巡らせて、僕が今一番欲しいものを、思い浮かべて、それがもっと欲しくなる。大丈夫だろうか、ふと、錆びた水道の、一滴ずつ漏れて垂れる一滴に、尋ねてみるけど返事はない。大体、返事がないことの方が多いので慣れている、現代人は。人口が増えすぎて死ぬことに気付いていないし、何らかの活動をし続けなくてはいけないから、慣らされていく、地面のように。そう、地面のように。俺の頭や皮膚から草は生えるのか?ひょっこりと間違えて生えてきたそれを、愛せるのか?抜くと痛いから、可愛がるしかないのか。だんだんすり減って馬鹿みたいだと思うよ、自己防衛機能としての笑顔が、耐えられない重みに増えていってしまって、止まらなくなったら、きっと引き上げて。飛び散って飛び回る音の一粒一粒が懐かしくて、海辺の腐った魚の匂い。可愛いあの子は僕のバンドが嫌い。貧弱な精神を持った詩人がすぐに深刻な顔になる。吹けば飛ぶような女の子が生々しい大空を眺めてる。はみ出しているのは性欲だけじゃなくて、もっと複雑だ。ごちゃごちゃと絡まった線が鬱陶しいし、ブレーカー落としたくなってくる。テレビのどうでもいい話に深く集中してしまう、日々反省をしている。頭の中のどうでもいい話に深く集中してしまって、もはや取り返しのつかない場所まで落ちてしまったことに気付いていないけど、別に気付く必要はないよね。だってこの世界には取り返しのつかないことしかないんだ。またおはよう。高速で排泄して時間通りに生きているよ。虚脱したシステムの中で、自動販売機がぴかぴか光っている。その気になれば暴力と同化することもできる。自己催眠だし、色々と迷路だ。迷惑な人がこの世の中には多数いて、僕は友達にはなれないけど、一瞬だけ同情する時もあるけど、やっぱり避けている。どんなに粋がっている奴でも本当は安全地帯が大好きで、一人で勝手に戦争を始めて止められない僕は、それでもまだ電車に乗ることができる。友達が赤ちゃんを産んだ。良いものを絶賛し、また、良くないものを良くないと言い続けていると、どんどん世界とのズレが広がっていくんだが、そんな時にこそ俺は試されている。だけど、俺は中途半端にチキン野郎だ。言葉を上手く使いこなせないし、こんなにたくさん言葉を覚える必要もなかっただろう。あー情報が輝き出してきた。楽しくなったり悲しくなったりする。歩道を濡らしていくしつこい雨が静謐な。死を予感させる車の速度。結べない夜はこうして冷えていく。ぶるぶる。