日報

あるいは遺書

りゅう

白く鋭い風

世界はいなくなった


珈琲の香りが残る


青い空と大地の境目で


波と波のもつれ合う声


一つの感情が膨らんでいく


きっといつか何かをやるだろう


良い気も悪い気も全て使って


分かれた枝の先


神さまにでもなったつもりで


そっと撫でている


小さな歩幅


水を掬う


魂の尺度


目を見て話せない


昨日の夢


新しい人になる


自分自身を見据える


静かな闇がやって来る


傷つけても傷つけられても


冷たいまま終わる


蝉が鳴いている


皮膚の内側の沈黙


穴を掘っては埋める


0に近づく速度


可能性がのたうつ


空気抵抗、白く鋭い風


コンクリートの向こう側へ


今なら行けそうな気がして


コントローラーを握る


色が溢れ出し、影が踊る


その複数性


何度でも、何度も


あなたはその行いを恥じることはない


手を伸ばしては消える