他人の戦争
朝、カーテンを開ける
路地に熱気球が膨らむ
間違ったことを言っても
自分に嘘をついてでも
ただただ何かをやりたいと思う
分厚い本
トンネルの向こうがわ
小さな人と話す
ちょっと待って
何もかも中途半端
背を向ける
自由になりたいと思う
煙草の吸殻
かつて人であったもの
窓辺の花
今この瞬間の感情を思う
際限なく大きくなる
誰かの正義の材料となり
誰かの心の平穏となる
まだ死ぬわけにはいかない
UFOが飛んでいく
浮き草のように羽ばたく
かつて自分であった人
分からないまま忘れていく
浴槽の中で見つける
新しい人になる
手の甲の血管
夜明け前
色が溢れ出す寸前
瞬きを数回繰り返せば
もうここがどこだかわからない
上と下が混ざり
皮膚の感触、舌の感触
月が欠けてはまた元通り
他人の戦争に溺れていく