日報

あるいは遺書

りゅう

地面の匂い

思い出して


最小単位の振動


電話するから


季節が皮膚を包み込む


届かない


水面の揺らめき


取るに足らない記憶


何のために生まれて何をして喜ぶ


安心感


望んだから


間違えたまま進む


初めて自転車に乗れた日は


とてもよく晴れた日で


新しくなる度に


自分が元々どこにいたのか分からなくなる


瞼を貫く強い光


かき混ぜられて曖昧になる


伝えなければ


屋上に昇って


夏を抱きしめる


体の内側をさっと駆ける


喜びも悲しみもちゃんとしたい


最後の鼓動


諦めてもそうじゃなくても


洗濯機がピーと鳴る


街が動き出す


ここはどこ?


小さく丸くなる


砂埃が舞う


錆びたフェンス


失くしてはいけないものを失くしたのかもしれない


それを探したい


太陽が輝く


地面の匂い