日報

あるいは遺書

りゅう

口ずさんで

体の中に


海が満ちる


猫の鳴き声


ひりひりして


風がびゅうって吹いた


欠けた月


雫が垂れる


小さな女の子みたいに


口ずさんで


春を連れてくる


謝らないで


年を取って


目の裏で陽だまりが揺れる


明日はどこか遠くへ行きたい


その中に入りたい


ありがとうと言う、繰り返す


光の端っこ


まだ歩いたことない裏路地で


石段を登って


花の匂い


なんだっけ


ゆりかごのうた


遊び疲れて


いつの間にか空の色が変わるみたいに


許したい、ほどきたい


わたしはわたしのまま


わたしではないものを受け入れる


待っててね


あの場所で


口ずさんでは笑う


口ずさんでは眠る