日報

あるいは遺書

りゅう

白魔法

治ってしまった傷を


いつまでも庇っている


早く次の町に行きたい


さっと風が吹く


戦うために生まれたわけじゃない


そう思う


意識の奥底まで


光に包まれて


揺らめく水の模様


胎児の姿勢で


雨を通り過ぎた後


静けさをずっと聴いていた


身体がなくなっていくような感じ


今日もどこかで時間が刻まれる


やってきては去っていく


良い気も悪い気も


等しく回り惹き寄せあう


冷たくて温かい


戻れないようになる


料理をする


階段を降りるように昇る


夜と夕のあいだ

 

季節と季節の狭間


だんだん忘れていく匂い


せめて最後はちゃんとしたい


ありがとうと言いたい


疲れたままでもここで


空白を抱いて


白魔法使いたい、ケアル


ゆりかごのうた


海の声聴くために


電車に乗って行きたい