日報

あるいは遺書

りゅう

魔法のようにそうなる

心臓の裏側で咲いている赤い痛み


そこにいられると邪魔なんだけど


とても遠くまで染み一つない空間


おもちゃの飛行機を飛ばして遊んだ


生きようとする身体


水に映る月みたいな


音もなく壊れては組み立てられる


勝手にそうなる


どうしてもそうなる


魔法のようにそうなる


まばたきをしている間に


何もかも空っぽだ


澄んだ空気を吸い込む


この気配が好きだ


INとOUTを間違える


くるしみのきらめきが要求する


もっとシンプルになれたらいいのに


透明な渦に絡めとられて


過去と未来を記述する


あなたがあなたである必要はもうない


約束は時効になって


壊れた都市に蔦が絡まる


無理しないでってそれだけ伝えたかった


なんとなく居心地が悪くなってそこを離れた


夜になって


太陽の香りをほどいて


ジャングルジムのてっぺんで


沈黙の歌


試しに羽ばたいてみたら飛べた


笑み


やっと終わる


心なんてない方がよかった


本当にそう思う?


何もかも失くした後もあの意思は繰り返される


海の布


記憶の階段


冷たい雨が通り過ぎる