翅
西陽の射す部屋を温かい水に沈める
強く打つ鼓動が道しるべになる
君にしか拾えない言葉にさわる
髪が風にゆらぐ
オルゴールのねじを巻いたら
もう一度あの記憶を再生しよう
祈るように小さな翅をひろげた
皮膚の震えかたで音楽を知る
白い深い虹、遠くの、影、回転する粒子
右、左、日向、雨、目に見えない力
知らない人のやさしさ
未来から過去へ、踊るように流されて
永遠の中で泣き続けた
悲しみ、慈しみ、二重螺旋を降りて、降りて
雪、すべての上に
壊されて
奪われて
誰かが怒ってる
遠くから波のように伝播する
TOKYO2020の残骸
子供たちはただ遊ぶために遊ぶ
ありがとう
カレンダーに印をつける
欠片を拾い集めるように生きる
街灯に光が灯りはじめる
この時間帯はすべてが青く見える
君の罪を少しずつ引き受けよう
君の痛みを少しずつ馴染ませよう