優しい鏡
体温に近づいていく
綺麗な石を集める
宇宙に抱きしめられて
そのことばかりを思い出す
まだ名前のない塊だった頃
季節は新しかった
それは小さな祈り
誰にも見つけてもらえずに
雨粒を見ている
穴を穿つ
靴ひもはほどけたまま
それでも行かなきゃ
存在した理由を集める
デジタル時計の点滅
鳥が鳴く
またここにいる
天井を見ている
命の残骸が床を埋めていく
埃が溜まっている
咳をする
がたんごとん
切り替わる景色
間違いだと思ってた
うまく伝えられなくて
無駄に言葉を費やす
それからゆっくりと気づく
誰に謝っているの?
どんな天気でも
あなたはただ佇む
近づけば近づくほど遠ざかる
雨が上がれば夕暮れに虹がかかって
少しだけ驚いてみたりもする
2人の自分
何度も同じ音楽を聴く
静かな暮らし
忘れていくことはとても簡単で
雨の日でもちゃんとカーテンを開ける
咲いた青
喉の奥で木霊する
それが終わった後は
もうどこにも帰らない
傷つかない存在
街の灯が光る
0に近づいたぶん0から遠ざかる
薄汚れた灰色の壁に懐かしさを覚える
目を閉じたまま歩いたりしてみる
不意に強い揺れ
水槽の水が跳ね
影が膨らんでは弾ける
赤ちゃんの記憶がよみがえる
しがみつく指
静かに降り積もり覆い隠していく雪
視点が定まらない
傷つける存在
ペンを置いた
繰り返し身を委ねる
走って帰る
ランドセルが肩に食い込む
夕暮れが追いかけてくる、でも遠ざけると近づく
そうして詩を編んだ
どうか夜を嫌いにならないように
巡り巡ってまたあの場所で会いたい
透き通った鼓動
目の裏の模様