日報

あるいは遺書

りゅう

自殺するな

年を取るたびに死が身近なものになっていく。誰の知り合いが死んだとかの事例が増えていくからだ。特に自殺。知っている人が自殺すると、自殺へのハードルが少し下がる。これまでは、生きるためには生きているだけで良かったけど、これからは、生きるために生きる理由が必要になるのかもしれない。俺はあまり自信がない。数で言えば、死にたい理由の方が多い。去年、親が自殺未遂していたらしい。深酒して気付いたら持っている薬を全部飲んでいたと何ヵ月も経った後で聞かされてショックだった。俺も、中学生の頃、全く同じ方法で死のうとしたことがある。緊急連絡先を俺の電話番号にしてるからなんかあったらよろしくと言われた。なんていうか家族が死ぬと一気に特に死へのハードルが下がるよね多分。やっぱりそうなることが必然なのかと納得してしまうかもしれない。死んでほしくないっていう純粋な願いではなく、俺は、ただただそれが怖いし気持ち悪い。音楽やらなきゃ、という気持ちがすごく湧いてきた。自分にできること、自分が誇れることはこれしかないんだから、誰にも認められなくても、自分にはこれしかないのだから、全力を注がなきゃ、そうやって生きる理由を強化しないと虚しさにやられる。自分が許せなくなる。ほとんど強迫観念だ。だけど、全身全霊になれる対象があることは、幸せだと思う。俺、本当に自分の曲好きなんだよなぁ。

脳内物質のブースト具合がおかしい時が明らかに多すぎる。多分何の薬もキメなくてもトリップした曲つくれると思う。グルパリさんにも似たようなこと言われた。わざわざおかしくなろうとしなくても元々おかしいし、これ以上狂ったら大変だろ。あのな、俺はな、友達と海に行って、たくさん泳いで、遊んで、太陽を浴びて、シラフのまま、夕暮れの色を見ながら風を浴びて、楽しかったね、なんて言い合って、あの時の酔いが一番好きなんだ。本当は、意識を酩酊させる必要なんて一切ないよ。

ちゃんとこの命を使いきることができるのかな。自分の望みすらわからずに。痛みのある言葉を喋るんだ。それは魂の核に近い。この世界が嘘だとしても俺は自分自身に嘘をつきたくない。だけど痛いのはもっと嫌だ。痛いのは本当に嫌だ。自分にとって少しでも心地いいルールを積み上げていかないと、壊れる。それらはいとも簡単にいつも一瞬で壊されてしまうものだけど、それすら無ければ俺はもう最初から壊れている。ただ立ち尽くしているだけじゃ脳みそがもっと誤作動を起こし始める。万力で締め付けるように憂鬱が身体の表面を全部覆う。そういうのはもういいよ。もっと身軽になりたいよ。でもルールをつくらなきゃ。心地のいい。だけど痛みは魂の核に近くてそこから離れると魂の輪郭は薄れてひしまう。

過去に一瞬でも自分を愛してくれた数人の女の子たちは、今も変わらず俺のことを無条件で愛してくれる。記憶の中で。もうほとんど良いことしか覚えてない。ありがとう。

昨日ぶち怒って思いっきりレジぶん殴ったから手が痛いよ。心にも傷を負った。また新しいトラウマだ。トラウマが俺を活性化させると考えろ。死ぬかもしれないから生きるぞ。

優しい世界をつくらなくちゃ。このままこの世界にい続けるわけにはいかない。奈緒との生活は、愛の実践の場であって、この上なくかけがえのないものではあるけど、残念ながら優しい世界ではないんだ。俺は、もっと、何があっても無条件に愛し愛される、絶えることなく優しさの輪が回り続ける、現実離れした空間が必要なんだ。そうしないと、多分生きられないんだ。そんな場所はないよ。そんなことはわかってるよ。だけど、大森靖子や、神聖かまってちゃんや、GOMESSが、それが在ることを証明していると思うよ。自分のことなんて、自分でもわからない。だから誰にも自分はこういう人間ですと説明できない。何を言っても嘘になる。優しくされても、優しくされる価値なんかないと思って不安になる。むしろ気を遣わなくてはいけなくなるので疲れる。だから、音楽をやるんだろう?自分自身が何者かわからなくても、自分が何か本物の感情に駆り立てられて、情熱を注いで、懸命に創り上げたものの上に、自分自身の本質が宿るような気がするから。それを、誰かに見てもらえたら。好き、と言ってくれたら。それで自分は報われるだろう。そこにユートピアは誕生する。そうしたら、人生から逃げずに、ちゃんと生きていけるのかもね。優しさをあげるので、優しさをください。優しさをくれたから、優しさをあげるね。そんな風に。やわらかくシンプルに。

だから、とにかく、完璧にこだわっている場合じゃないんだ。今、内に秘めているものは全部出さなくちゃ。多少不恰好でもいいから、自分の魂が乗った曲を、切実に、発表していかないと。誰も見向きもしないかもしれないけど、とにかくいつでも聴けるようにしておかないと、もう一生何も始まらないぞ?頑張れ。

さしあたってまず、年末にまた「何もかも憂鬱な夜に」やれたらいいな。