日報

あるいは遺書

りゅう

そのまえのつづき

真っ黒い風景。ぼくを汚す風景。ぼくが汚す白?いやなんで怒ってんだ。いやなんで壊したいんだ。全くの不合理の頭が雨の中で、いや雨なんて降っていないのに、いやお前は不自然な人間だ。お前は不合理な生き物だ。お前は否定されるべきなので俺が否定してあげる。眠くなるまで否定を連ねる。 もう飽きたな。不快だ。悲しいんだよな。もう眠いよ。細胞を壊してくれ。手足を欠損させてくれ。心地よく意識を失うまでここにいて。白いベッド。白い夏。おかしいな、こんなのは。声は固有性を示す。何も喋らなくてもいいのに。黙っていろよと思うのに。雨が降り始める。本当は抱きしめてほしいと思う。そんな考えをとりあえず思い浮かべては、ああ、違うな、もう俺は清潔じゃないから。誰かが俺に命令してくれればいい。もうそれでいい。なんでもいいです。はい、それでいいです。はい。うなずく。うなずく。うなずく。悪魔に身体を渡す。悪魔のつくった迷路を遊ぶ。太陽は白い。太陽は善だ。もう鬱陶しいな。ああ、失ったんだな。あのコンクリートの上へ転げ落ちる。あの四角く区切られた部屋で飢える。蝿がたかる。こんなことはどうでもいいことだ。なのに俺はただ腹を壊しているだけで。だんだん出口がなくなっていく。俺は呼吸をしているんだろうか。この呼吸は俺の呼吸ではないのでは。俺の呼吸ってなんだ。そんな定義はない。情報はない。脳は受け入れる準備をしていない。受容体がない。川が氾濫する。街ごと嫌いだったから街ごと沈む。宇宙ステーションから見てるよ。自分自身。目、口、鼻、その他、なんのため?呼吸?肺?もう何にもなりたくないよ。憑依しないでください。そんな奴知らない。平穏に存在することはいけないことですか。よく切れそうな刃物ですね。お母さんに話しかける。それは、よく切れそうな刃物ですね。知らんけど。俺はまた、逃げて、風呂場に鍵をかけて、閉じこもる。出口はない。ああ、入口もない。そんなものはこの時間軸のどこにも用意されていない。だからほら、壊したんだ。毎日命を食べている。そんなことをしていいと思っているのか。うるせぇな、腹が減ってるんだよ。大切な人を愛したいな。また不貞腐れていると思われる。うるさい。うるさいって言われた、思ったことを口に出しただけで!は?意味わかんない。ここはどこ?自動音声システム。何か意味があれば、100分の1でも、それ以下でも、地獄に行く前に、連れていかれる前に、在れば、居ればいいのに。どうしてもまたここをループしなくてはいけないんだ。俺は誰にも名前を呼ばれずに誰の名前も知らない、ただ、顔とはこういうものだと思う、よく動くけどいつも同じだ。誰かが強く手を引く。何の権利があって。一体何のつもりで。むせるような匂い。ここは誰の家?質問する相手はどこ?逆さまに落ちる。この現実を生きながら、無数にいるうちの一人の自分が、深く暗い穴に落ちる。それはあの団地にあったし、スーパーマーケットの中に、青々とした稲穂の向こうに、あの山の裏側に、くたびれたおばあちゃんの胎内に、雨の日の車の中に。また嘘をついたんだ。悪いんだ。悪だ。真っ黒だ。嘘つき。嘘つきはバラバラになる。地獄の中で無限にかき回される。止まることができなくなる。自分がどこにいるかもわからなくなるよ。誰か抱きしめて。死んでしまえばいいんだと思う、もう死んでいるくせにね。本当は冷たいのに嘘をついて温かいふりをしてしまった。でも知らなかったんだ。嘘が本当になったり本当が嘘になったり、そもそも自分がそんなことに執着していたんだということを。自分の意思じゃないのに無理矢理意識を向けられる感覚。今はもう、世界は拘束具でしかないね。教室は動物園で、多分どこかに人を騙すのが上手い人がいるんだろう。俺は、人を殺すくらいだったら自殺をします。はい。ごめんなさい。謝ります。どこか遠くへ行きます。社会復帰をします。ごめんなさい。あのメロディーが必要だったんです。でも必要じゃなかったんでしょう?はい。甘えていただけでした。つまらない言い訳を言い続けました。誰かに許されるために謝り続けました。ごめんなさい。ごめんなさい。人を殺すのなら自殺をします。どこか、誰も知らない場所で、誰にも迷惑をかけずに、一人で、ひっそりと、死にます。生まれてきて幸せでした。幸せだと思うことができました。光に照らされました。愛の意味を知りました。だけどそこに居座ることは許されなかった。必死に聞き耳をたてている自分は卑しい存在だった。家族とはなんでしょう。離れ離れになるのに。お互いに憎み合わずにはいられないのに。誰かにとって一瞬でも心地良い存在になれたらよかったのに。一生に一度くらい。馬鹿すぎて終わった。禁煙していた煙草を吸います。俺の人生はギャグでした。滑稽でした。迷惑をかけて申し訳ございませんでした。いてもいなくても一緒です。そっちの方がいいんです。勇気がないから。一言で言うともう疲れたんです。どうでもいいんです。自分が馬鹿だから他人のことが全員馬鹿に見えるんです。知らない人とセックスしたい。そして思いっきり見下げ果てられたい。終わりだ。とりあえずもう、終わりなんだ。だからリラックスしていよう。パンを食べよう。大きな音を鳴らしたり踊ったりする必要はないんだ。もう俺はいらない子なんだ。ムカつくやつをボコボコにしたいよ。好きな人ばかりを傷つけてしまうんだ。本当は嫌いな奴を傷つけたいのに。でも、本当に恐れていたことが現実になった、もう終わりにしたかったのに、終わらなくなってしまった。身体は疲れている。脳は変な汁を出している。ただ終わらない時間だけが図々しくここにある。うるさすぎる。重たすぎる。星になりたい。綺麗になりたい。だめですか神様。だめなんですか神様。なんなんですか神様。どういう意味なんですかそれは。俺は愚かだなぁ。死ぬほど。バイト行きたくないんですけど。定職つきたくないんですけど。一生海外旅行してたいんですけど。