日報

あるいは遺書

りゅう

この最高という気持ちをいつどんな状況でも脳内に再生できるように準備しておかなければならない

実際問題飯を食わなければ死ぬし哲学してる場合じゃないなこりゃ、骨だよ。鳴り響く骨に過ぎない。不可思議で珍妙な空気感に沈んで何かを生み出そうと思う、ぼくは男性だけれども、それでも、何かを産み落とそうと思う、産み落とす穴、ないけれども、だけれども、それでも。まずはその中途半端な知識を捨てるんだ、健康の有り難みをわかっていた方がいい、太陽と仲良くなれたらいいけど、なれなかった場合は部屋をつくらなくちゃいけない、部屋を。瞬間的に危険を察知することができるのなら。親しみの深いメロディー、沈没する、真昼の街、イメージ、ありふれたイメージで遊ぼう、ずっと同じことをし続けよう、その最初の一歩を踏み出そうまずは。箴言なんて必要ないんですよ、都合よくコロコロ態度を変えることを躊躇うな、仕事をしていればいい、お金をもらえればいい、ぼくはたくさんの経験をしてきました今まで。夢から覚めてもまた夢だったり、大草原で空に近付いて空と一体化する風船を追いかけたりした、フロイトユングも家に帰れ、ぼくには当座の帰るべき家があるぞ、どうだ。旅にだって出られるし、愛の言葉を100万通りは知ってるからな。だけど憎しみや不快な言葉はその100万倍くらい多くて、やる必要のない障害物競争に駆り立てられているし、昔から運動会は嫌いだった、どう考えても運動は一人か二人くらいの方が楽しい。追い詰められた時に目覚める。安心と不安、この二つがキーワードだ、安心と不安、赤ちゃんと大人、大人の中に赤ちゃんはいるし、赤ちゃんの中に大人はいると思わないか、きちんと入っていると思わないか。理由もなくありふれた価値を転換させながらまばたきを数回繰り返しながら今というこの瞬間に最適な言葉を探した。ぼくは今入っているのだということを意識する。お母さんが名前のない草を踏みつける。すりガラスの向こうから不明瞭な輪郭の悪魔が見ている、それは恐ろしいことでも、悲しいことでもなく、真っ白な元風景。ぼくは名前のある花を踏みつける、そのとき、何か間違っているような気がする。悪意に閉じられている部屋のしっかりとした壁を確かめる、喜んでいたいと大声で言う。理由もなく道を走り出す、疾走感が頭蓋骨の内側に染み出す、じわじわと追い詰められるように、手足を硬直させたままもっと深い黒の中に入って、もっと名前のない草を踏みつけるお母さんを見たいと思っている。そばにいてください。籐椅子に座って編み物をしていてください。雪が降った日に窓を開けて、氷点下の風に身震いをしながら、一緒に驚きの歓声を上げてください。カラオケでぼくの好きな歌を歌ってください。高層ビルの屋上から飛び降りるという夢を見て、高層ビルの屋上から飛び降りるというイメージを抱きながらその日の暮らしをして、高層ビルの屋上から飛び降りるという体験を言語に翻訳して。おっぱいだ、純粋な。クリスマスソングが流れている。街は快楽に溺れ薄汚れている。カラスが飛んでいる。ギャングが群れている。今なら誰も見てないし、影になってみようか、80%くらい、そう思ってぼくは薄黒くなる、ぼくの輪郭が、ぼくの皮膚が、掴みどころのないもやもやしたものに変化する、ついなんとなく不快感を覚えてしまうような外観になって、それに付随する匂いを放っている、つまり、意図せずぼくはぼくの存在をアピールすることになる。常に回転し続けている、この街。クリスマスソングが流れているよ。車に乗ってどこか遠くに行きたいと考えている、その様子を思い浮かべて目の前の景色と重ねる、重ねながら歩く、移動する。たくさん飲んだら間違いなく体調が悪くなる変な味の風邪薬を飲み、自分自身の匂いが染み付いた最悪なマスクの裏側で咳をして菌類をキャッチアンドリリースする。暴力の痕跡を探している。それは視点を変えればいくらでも見つかるし、適当に感動しておく、特に人のことを記号だと感じる瞬間に、思考を凍結させる、無難にね。熱を放射する奴を許さないと感じるときがある、テレビを消した方がいいと思う。天国への階段を適当に登って、今だっていうタイミングがあるから、できるだけ派手に転げ落ちる、全身を骨折して身動きが取れなくなった時になって初めて、お前の人生が始まるんだ、お前だけの音を奏でて、お前だけの色を混ぜる。たまに祠をめちゃくちゃに壊したくなる、そして俺はこんなこともできるんだぞという風にSNSに報告したい。変なポーズをしながらベルトコンベア上を流れる人。人知れず熊と格闘する人。オフィスレディーと客引きのババアのコラボ。自殺志願者と中学生のソテー。滞空時間を競っている時間になって初めてぼくはぼくの面の皮を剥がし初めてそして間に合わない料理の時間は了解を得て何もかも焼き尽くしたゴジラと共に海に帰る、そう海に帰るんだ、象徴的に、より猥雑に、触覚や性器の神秘をにょきにょきと伸ばして雨の日に、雨の中で踊り泥の中に刺さる。ぬめってしてる感触がぼくに教えている10のこと、それを言葉にして君に100%伝えることができたら、その瞬間にぼくは霊的にステージアップして、苦しいことはそんなにもなくなるんだろうな。窓際に頬杖をついて幽霊の行方を眺める、だんだん夜が親しい顔をして、何か意味不明の約束事を取り付けて、抽象的な繋がり、連帯感を競いあっている。ぼく以外誰もいない部屋でぼくが消えたら。犯罪者になったら。上手い料理をつくってくれ、だからあいつはといつも失望の顔を絶やさない先輩の醜い骨格をバキバキにして創作活動をしたい、強く突き動かされる気持ちが変態に希望を与える、大丈夫だよ、ここにいてもいいよ、君はどこから来たの?優しいお姉さんの顔面、それは白い、それはあらゆる意味で汚したくなる、それは凝視することによって分解されていく。ぼくの身長は1メートルに満たない。虫に比べれば大きく、大陽に比べれば小さい、風呂上がりに飲むコーヒー牛乳は最高だ、この最高という気持ちをいつどんな状況でも脳内に再生できるように準備しておかなければならない、そしてぼくは、赤子に比べれば大人で、老人に比べれば若い、それは一つの真実なのだが、真実を数え上げていてはキリがないので、蝋燭に火を灯そう、この火を吹き消した時あらゆる理屈も一緒にふっと消えるよ。壮大なかくれんぼが行われていると感じる、まずぼくは鬼のことを知らない、そして隠れている人たちのことも。だけどぼくたちは海を隔てて繋がっている、そう感じる、元々は一つだったんだ、言語も、アイデンティティーも、複雑な形を取っているけれども、最初それは完全な円だった。別れた女のことを思い出して嫌な気持ちになるよりも、かくれんぼを続けた方が楽しいことは明らかだよね。不都合な滑り台の下で粘膜だけを刺激して何かブヨブヨした分裂する生命体に生まれ変わりそうな夜に、その動悸を極限まで感覚しろ、心の中にプログラミングされているグロい言語、パターン化されているマーブル模様が溶けたり混ざったりしていく過程をすべて口から吐き出せ、大きな影が覆っている夜に、街灯が灯ってその光によってさらに深くなっている濃い影の中に入って、土に、砂利に、地球に、吐瀉物を、一定のリズムに合わせて、太陽と月の周期に揺すられて。お母さん、上手にできたよ。お母さん、ゲロを吐きました。高熱で遊べ、遊んでお金を稼げ、新しい人たちの新しい体温と匂い、施設の壁の白さの度合い、何を相談したいのか土壇場になってわからなくなってしまって困っている顔、沈黙のぎごちなさは親譲りだ、他にも譲り受けたものがいくつかある、そのことをぼくは最近知った。この快感は親譲りだろうか。この至福は親譲りだろうか。たくさんの病気についてたくさんの解説が加えられているたくさんの本が本屋さんの棚にたくさんある。君の中身が見たくなった時ぼくはどうすればいいのか。君の中身を見たとしてもぼくの目が悪いのなら意味がないという虚無感に飲み込まれて何も見てないのにどうでもよくなる。音は時間の流れに乗ってたくさんの種類が飛び込んでくる、ぼくは自分を催眠にかけて、それが正しい音じゃなかったとしても、そこに何らかの言語を用いない説明を見出だして、その音に従って生きる。はいどうぞ、手渡してあげる。耳と目が分断されている。耳と目は違う世界のようにそれぞれが独自性を持ち勝手な動きをする。ぼくの中に感情を認めない、指先にぎゅって力を込めて小さな蟻を潰す、硬い殻が破けて中身が飛び出して液体に変わる。ぼくは覚悟を決めた5歳。おっぱいに挟まれたい。もしくは最悪の場合無関係の命を断ちたい。自殺をするくらいならシリアルキラーになって濃密な体験をしようと思っている、雨の日にそう思う、雨垂れを聴きながら、経験によって調合した鎮静剤を噛みながら。温度を忘れていくから、温度を思い出させるものを。忘れるのはすべて存在しない君のせいだと思ってぼくは気合いを入れながら歩き続ける、邪魔をしないでくれぼくは家に帰るんだ、それだけだ、唾を吐き捨てて水溜まりの奥深くに沈んでいく細胞と皮膚感覚の一部。ずいぶんと冷たい袖口をこすりあわせ、横断歩道には大道芸人と公務員とベランダの観葉植物がひしめき合っているけど誰もぶつからない上手く避けるから。宿命付けられている、上手く避けて身体感覚を崩さないその動作を、子宮にいるときからシュミレートしてきた、海を渡る笑み、YouTubeの真実。冷たい匂いだ、ああ冷たいよ、ゲシュタルト崩壊だ、過去現在未来、そしてそれとは全く異なる次元、鏡の中、病室の、独りという現象の中、竜巻の中。震えてもいいんだよ、子供みたいに泣いてもいい、だってそれは自然なことじゃないか、地震が起きてもいいし、雷が鳴ってもいいだろ?別にいいだろ?質問してもいいだろ?はしゃぎ回ったっていいだろ、観光地では。君の手を傷つける、手を繋いだまま、ほらつねる、痕が残る、君は少しだけ泣きそうな表情になって、でも静かにしている、そうだ、いい子だ、君は静かにしているんだよ、そのことを全世界の男と女に告げたい、ぼくは自慢したくてたまらないんだよ。だけど大丈夫だよ、コーヒーを飲もう、ケーキを食べよう、暖房をつけて、クラッカーを鳴らそう、ぼくは解放されている、ありがとうありがとう、もう塀の中には戻りたくない、保護も観察もされたくない当たり前だろ、ばか。社会という名の猿が欲望の解放のさせ方について何か言った。それはアルバイトの研修ビデオに似ていた。