日報

あるいは遺書

りゅう

女の股の隙間から生まれたぼくたちは、女を恐れすぎている

街を歩けば悪霊たちが悲しそうな顔で心の柔らかい部分まで包み込むように集団心理の変な匂いをたてている。洗脳してください。もう二度と空で迷子にならないように。怖かった。命の危機を感じた。寂しかった。ぼくは誰にもなれなかった。だから、安心と不安の揺り籠の中で、世界に一つだけの玩具になれるように、ぼくを教育してください。大切に、時間をかけて、ぼくを壊してくれ。あなたの腕の中で。あなたの子宮の中へ。あなたの身体や心の中で。あなたの記憶の中へ。飛び込むぞ。飛び降りるぞ。溺れるぞ。火を付けるぞ。夢でもいい。フィクションでもいい。ただ愛の感覚だけがほしい。光を浴びる。日陰の涼しさの中で。あなたのことを出口だと思った。だけど出口から外に出てどこへ行くんだろう。そこはまた、新しい中なのか。世界中を旅したい。風になってびゅーーー。速さが足りないから落ちるんだ。雨雲の中へひゅーーー。雨雲の中に花が咲いていた。雨雲の中に星が落ちていた。脳みそが締め付けられる思いです。この綺麗な糸をただ眺めるだけなのは。カマキリのメスは、後尾が終わった後、相手のオスを食べるのだ。それはこの世界の真実ですか?ぼくたちが息できる圏内は、簡単に砂漠に変わるぞ。真っ白な昼間恋の夢を水中に沈めて暴力的な昼間感覚が麻痺するセックスをする時間から重さがすーっと消えていく脳みそを空間に共鳴させる俺は部屋そのものになっね心臓は街のざわめきの中にとろけながらビートを刻む痛みの海の水面は静かに揺らめいていて遠い昔の景色の影が透けて見えるすみません、この中に意味のある人はいますか?すみません、この中に罪のある人はいますか?笑顔や安らぎの中で春の日差しや神様の下で書くという行為数字の行列喋るという行為デジタルの行列脳の中からどこからどこまでが私の身体?私の身体のどこからどこまでが地球の大気?カメレオンは透明に変化していく冷たい水が優しい季節桜の花びら日常を旅してる毎日を泳いでるつまらなさの中を流れてゆくくだらなさの中に溺れていく魔法みたいに俺には感覚器がある応えてくださいなんでもいいから答えをくださいお願いしますお願いします名前も顔も知らない人々血液型も誕生日も知らない鳥や虫や魚たちぼくは影のようになれるかな君を誰にも気付かれないように守っていたいんだぼくたちが永遠に離れずにいるのはとても自然なことだと思わないかこの身体が透き通ってしまっても真っ黒な背景に溶けてしまっても君は自分であり他人なんだ君は神様であり人間なんだ翼を生やしてあっちとこっちを行ったり来たりしていたいあなたと手を繋いで。大津波がくる。ノアの箱舟を想像していた。夕暮れの鳥を追いかける。声は木霊する。切り裂く美しさ。女が立っていた。…ごめんなさい。善悪の彼岸から遠くを眺めていたい。悲しみの色で空が染まる。宇宙の向こう側の愛へ向かって、生命の樹は枝を伸ばし続ける。気の遠くなるような時間の中で、太陽の機嫌を取り続けて、ぼくは喉が渇いていく。ぼくはアメーバだったんだ。気持ち悪いよね。母の子宮の中で。それはそうと、嫌なボツボツが身体の表面を止めどなく覆い尽くして、かゆくてかゆくて、たまらないんだよ。こんな風に簡単にコントロールされてしまうのは、他でもない、ぼくがそれを強く望んでいたせいだろう。名前も顔も失くしたい。社会のコールタールの底から透明な感受性の触手を伸ばして、キラキラの星空を見たいんだ。季節に関わりなく空気は凍っていく。ひとりぼっち。感受性のお化け。言葉や形をなくして、ただ枝を左右に広げている。雨を待っている。お金を払って飛行機に乗って海をこえ山をこえ君にだけ飲み込まれたい。心の壁になってください。強く生きれるように。君をずっと守れるように。大きい声とか全然出さないよね、そこが素敵です。耳を澄ませているんです。夢を捨てよう。ここにいるだけの人になろうちょっとだけ。泳いでる泳いでる。飛んでる飛んでる。愛しいの海。勇気出して永遠になろう。神の一部に吸い込まれよう。無理矢理狭い場所に入ろう。何か見つかるかもしれない。身体の底から湧き上がってくるもの以外の歌を人類は捨てなければならない。最初からクライマックスだし、朝から夜みたいだ。そんな人生を突風のようにびゅーーーっと。感じれば感じただけ、何かを成すことができるだろう。感情の海から発生した言葉は細胞から離れ違う次元へと軽々と飛んでいくびゅーーーんっと。ぼくをつくりかえてくれ、君の好きなように。ぼくはそれを感じることができる。おじいちゃんになったら、元カノを全員集めてりゅうファンクラブをつくろう。そしてみんなで遊ぼう、死ぬまで。あれもこれも記号じゃないか。はいといいえに挟まれて自殺をする。その場しのぎで太陽を回転させる。快感と不快の森の王国。無人駅。バカとバカが破壊し合っている、少しずつ、ゆっくりと、じわじわと。死という名の無限へと近づいていく。自意識は膨らんで溢れ出していく。壊れモノが転んで怪我する。健康に死にたい。ゆるやかに終わりにしたい。声の洪水だ。血の雨が降る。楽しいと悲しいの入り交じったウミ。力の抜けた笑顔の記憶?嘘だった。腹が減る。痛みが走る。ぼくたちは痛みから生み出された。痛みによって形を与えられた。だけど、何故か柔らかいものに抱きとめられる。ぼくたちは矛盾に満ち満ちている。俺は生命であることができるだろうか?無音。絡まり合った蜘蛛の糸が月の光に照らされて。生と死の綱渡り。多分目に映る全てが嫌いだった。君の色以外のものは。食べてしまいたい。存在しなくてもいいのにわざわざ存在してるっていう絶妙なバランスもいうか細やかな気遣いのできる気立てのよさみたいな儚さアイシテル。大地と空に依存しながらありがとうやごめんなさいを常に忘れずにいて、くるくる踊って回る壊れかけの機械人形たち、アイシテルヨ。森の裂け目から増殖した文化の隙間に生まれた生のままの新鮮で不潔な子供たちと、ちゃんと目を見て話せるかな。少しだけ不気味だ、名称と電子マネーと暗黙の了解で合意したこのストリート、ぼくは自信がない。言葉の泉に頭から飛び込んで、コトバのムレにNOを溶かされそうだ。どう考えても可愛い女の子を眺めながら、ぼくは何故可愛いと感じるのだろうと考えている。後ろ暗い細胞の高揚が、季節感を伴って巡りすぎて行く。世界とは、こんなものか。ぼくはもうヤケクソになって、ドラッグに手を染める。ぼくはもう仕事をしなくなる。美しいものが、年を取っても美しいままだったらいいな。女の股の隙間から生まれたぼくたちは、女を恐れすぎている。神さま助けてくれ。難しいんだ色々と。首筋に刃を突き立てると芸術的な様相になるだろう。その傷口から零れたスペクトラムを泳いで、いつかどこかに辿り着けるとしたら。一家に一台以上必ずテレビがあるし、いや、むしろ、テレビのない家庭を家庭とは呼べないだろう。それは宗教施設かなにかだ。自分と関係ない人々の騒々しい笑い声、華やかさ、そして適切な範囲で使用されるユーモアセンス。ぼくは苛立っていた。あなたと話して真顔になってしまう。今日も雲は流れているし、川の水は冷たいまま。憂鬱な猛獣が檻の中で欠伸をしている。無自覚な悪意の侵入を許せば、身も蓋もないことになってしまう。とはいえ、ぼくは毎日とてもヘラヘラしているし、秋の日差しが幸福にしてくれるからもうどうでもよく、もうなんでもよく。ぼくらがまだ子供だった頃、から、色々なことが狂っていた、そして、悪魔の影はあらゆる隙間に偏在し、それすら、懐かしいという魔法が、良いものか、悪いものか、まあどうでもいいんだけど、できるなら、良く愛したかった。透明なシが家の前をうろうろしていて、ぼくはベッドに潜り込んで居留守を決め込んでいる。コンディションの悪さを機会的に流す。雲のような大きな手が僕の周りを包み込んで真っ暗にしてしまう。居心地の悪さをあえて言わないようにする。それにしても誰の手だろう?目を覚ませ。勝手にしろ。どこかへ行け。立て、座れ、夢を見ろ。洪水、流される。悪い夢だ。ぼくは、動物になる。脳みそをストップさせる。意識が狭くなる。いるもの、いらないもの、白と黒。狭間から声がする。ぼくを呼んでいるのか?いやそんなはずはない。ぼくには顔も名前もないんだから。だから、数を数え続けろ。好きなものの数を。そうすれば静かになるんだ。そうすれば透明になってすべて消える。巨大な流れを体感するんだ、そのまま死んだっていい。女の子はどこにいる、女の子はどこなんだ。安心は信じない、関係は始まりも終わりもない。ノイズが寄生している。快感が眠ってる。テレビを消してテレビを壊して雨の中雨に濡れた。音もなく神経質な雨粒が細胞を犯した。人間は何故こんなにも匂うんだろう。ぼくはギリギリまで息を止めて、ぼくは苛々する心を止めて。ふやける。ぼくは溺れる虫。ふざける。ぼくは翼のもげた虫。会いたいよ。記憶から意味が抜け落ちても。入れたいよ。入りたいよ。 性欲が詩になる瞬間、生と死がどろりと混ざる。今日も想像力と共に暮らす。蠢く感受性に言葉をかける。太陽があればそれを浴びる。できるだけ深い場所に潜っている。光のカーテンで心を閉ざす。時間旅行を続けている。未知なるほうへ。新天地へ。新世界より。幻のようになってしまったあの日へ。良いぐるぐると悪いぐるぐるの真ん中に立って。不思議だ自然は。生きてる間はずっと目覚めていたいよ。大抵のことは自分でなんとかしたいよ。ねえふたりで透明になろう、くらげみたいに。透明な優しさで、透明な愛で、誰にも見つからないように。気の抜けた午後で身体中を満たして、空っぽになって。行こうもう戻れないあっちまで。ざわざわしている何かの中で、誰もぼくたちに触れない。ちゃんと自我を使え。自分は自分のためには機能しない。自分を誰かのために使うんだ。全力で、集中して。だってぼくは死ぬんだから。ああ、体調が悪い。時の流れに肉体を削り取られていく。余計なものが増えすぎているよ。いらない表現に囲まれて息ができなくなりそうだ。シンプルに生きていこう。だってぼくは死ぬんだから。いらない笑み。いらない詫び。ゴミ箱の中で幽霊がくすくすと笑い合う。ごちゃごちゃした街のいらない声の渦の中で、ちゃんとしていたいんだ。喉が渇く。夏バテる。上手に反応できないことだらけ。津波。幽霊が取り憑く。世界観が侵食される。食べないでくれ。もうこれ以上食べないでくれぼくを。粉々に砕かれた世界の破片を武器に、ぼくは君や、君を含む集合体に立ち向かう。ぼんやりと平和ではいられない。もうあれを知ってしまったから。くだらない情報が多すぎて、人を人だと思えなくなる。顔を顔だと認識できなくなっていく。だから、ぼくは、勇気を出して飛び出さなきゃ。その先に死が待っていても。誰かを傷つけることになっても。