日報

もしくは遺書

ぼくは小学生だったことがある

あ、祝福の気配だ。俺何も良いことしてないのに。白い空、飛沫を上げて。微妙な感覚。知らない人の葬式が行われている。あなたはどこかの山に登っている。剥離。面影が変質して。音もなく歩く人たち。夢を見ているようだし実際に夢だった。あり得ないんだよ。これは。そうか、と納得する。だけ。ふざけんなって怒るだけ。病院のベッドで横たわる肉体、労働さえしたくなってくる。機能を使いたくなってくる。白い砂漠、飛沫を上げて。両目のレンズの映像に結びつきを求める。きちんと繋がっていないと不安になってしまう。救急車は疾走する。煙草を吸ってゆっくりと遁走する。ぜひご飯をおかわりしていただきたい、とりあえずで生きてる適当な人も、常に何かに追い立てられている強迫性の人も。アフリカの子供たちを気にしなくてもいい。気にしてもいいけど、ご飯を食べなくてはいけない。捌かれる命の行方を気にしてもいいけど、君は為すべきことを為さねばならない。ぼくの部屋はなんだかおかしなまま、少しずつ狂ったまま、季節や天気が窓から差し込んで、今日は一段と冷たい、そんな簡単な情緒すら上手く言葉になってはくれないんだ。いちいち見つめる。ぼくは小学生だったことがある。なんとなく覚えてるけど、もはや意味もなくなってきている。車に轢かれて死ねばよかったような瞬間はいっぱいあったな。白い壁が染みで汚れされて、気になって仕方がない。爪のささくれも気になって仕方がない、けれど、ぼくは為すべきことを為さねばならないんだ。選ばれし者の恍惚と不安がやばいことになってくる、こんな夜は。このまま独居老人のように孤独死してもしょうがないし、やるせないよね。不安で本当に押し潰されそうな時に、どうでもいい会話がありがたかった、心の底から温かかったし、下手くそな歌が愛おしく感じた。運命の悪戯が笑えないレベルの時、ぼくたちはどうすればいいんだ。いや、まず、ぼくたちって、ぼくと、あと誰だ。おい。聞いているのか。虚空。ちょうちょが飛んでいて可愛い。とりあえず煙草を吸う。そして、次の煙草の時間までは、生きる、とりあえず。そうして壁は汚れていく。ここから宇宙までは簡単に行けるけど、それは当たり前のことだからいちいち言わなくていいし、詩にも歌にもならなければ、情緒の欠片もないただのゴミだよ。だって、宇宙に行っている場合ではないだろう、明らかに。ここにいろよ。洗濯物をたためよ。二つの目が見つめているよ、何者なのかよくわからないけれど。口癖が凍る。窓から捨てた後の景色、夢から覚めた生々しい時。案外簡単な夜の渡り方は、年を取るごとにくたびれて、なんか変な顔になっていく。近寄ると臭いけど遠くから眺めると綺麗。他人のように過ぎていく。昨日知り合った人はもうとても遠くに行ってしまっている。川を逆流する、泳いで。冷たい季節になってきましたが、お元気でしょうか。光線が美しすぎる、頭が真っ白になって、もう全部ゴミ箱に捨てちゃって、ゴミ箱のゴミはちゃんと指定のゴミ袋に入れて、朝9時までに出さないと、怒られる。小学生。裸足のままでサッカー。空の欠片が水たまりに散らばっていて、旅に出たくなってくる。子供に戻りたくなってくる。知らない人と抽象的な会話がしたくなってくる。言葉にならないそれを言葉にしてあげてみたくなってくる。眠っている君はどう考えても天使で、はしゃいでいる君はどう考えても。ストローで吸い尽くすよ、飲める部分全部を、ちゅうちゅう吸い尽くすよ、お願いします。雨が降れば静けさが柔らかい布のように覆って、信仰を持たずかと言って無神論でもないぼくたちに、何かの気配を感じさせそうな気がしている。にょきって触覚。探って進め。楽しみながら勉強をして。孤独をありがたがって。輪になって踊っているよりは、夜明けの河川に小舟を出して、無心にオールを漕ぎ続けたい。あらゆる微細な色が外に出たがってるのが見えるだろう。悲しくも楽しくもない、ただそこにある、名前のない、数あるひとつ。そんなものを丁寧に拾い上げて、しわくちゃになった手のひらを誇りに感じて、寡黙でいたい。おいでと呼んでいる白い影が、花束を抱えて、多分嬉しそうに、このままスピードを上げていく。何か胃に違和感がある。それを吐き出したらあの飛行機雲みたいに上にまっすぐ突き抜けて、なにかしら手応えがあるのだろうか。あかりを灯して、話をして、体温を確かめたら、また旅に出て、二度と帰らないよ。泥と細菌にまみれながら、一定のリズム感で、渡っていくだけ。それだけ。ちゃんとしている。ふと見渡せば広い。テレビのCMみたいにはいかないけれど、地味な作業を最後までやる人を愛しているから、それを伝えたいと思うよ。たくさんの柄があるよね。そのひとつひとつに凝縮されていて、もしそれが本当にそうなら、俺はその中のひとつになって閉じ込められたっていいんだ。心はアイスクリームみたいに溶けて、小さくなっちゃって、誰も気にしてはいないけど。それはそうと予定がぎっしり詰まっている、交通事故に遭うかもしれないのに。こんな言葉を道端に吐き散らし続けているぼくだって、いつ狭くて広い異次元の穴に放り込まれるかわからないというのに、こんな風に雨の音に安心していられる図太さは、誰から貰ったんだろうね。生き物のくせに。命を食べないだけで死んでしまうのに。変な姿勢でいるから肩と腰が痛くなってくる。挨拶が朝に溶けて、透明なフィルターを通して、今日も元気だ。今日も変わりない。ぼくはそして、朝から夜まで、また夜から朝まで。ずんたん、ずんずんたん。心臓に同期する。誰にもなれないけど、自分のこと知らないけど、懐かしいできごとや、行ってみたい場所、過去や未来だけがわくわくさせる。揺さぶる、眠気を覚ます。ジャンプしてしまいたい。二度と戻ってこない覚悟を決めたい。戦争に行きたくない。知らない人間を殺したくはない。傷つけたくない。怖い思いをさせたくない。終わりにしたい続きがたくさんあって、その細い繊維が絡まり合って、毛玉になっている。断ち切れない。料理に使う用の刃物しか持っていない。雲の上と地上は繋がっているんだろうか。コントロールさせてほしい、自分自身だけで構わないから。そして虹が生まれる。グロテスクな虹が、大量に、昆虫のように、生まれては死んでいく。6番目の駅はどこにある。迷っている。今日の寝床を決める。そうして。吐息。温める水は、腐って、それでもここで渦を巻いたそれらが、再び産声を上げながら、象徴的な音声を、示唆していて、通り過ぎるのを待つよりは、もっと近付いて、そう、死に、一体となりたい、本当は多分。だけど破滅はよくないから、良くないの象徴を示唆しているから、夜空に自転車を漕いで、E.T.ごっこをして、子供達と一緒に遊ぶ、この楽園がもしそんな風であったならば、ぼくはもっと笑顔を好きになれる、そう、もっと。魂を固定させて、インチキ宗教の説教だって、それが目の前に現れたからには、それを処理し、 編集するのはぼく自身なんだから、気合いを入れていなければならない。窓から手を伸ばして、他にもたくさんの手を、傷だらけの手を、夕日が射して、その横顔を、そんな瞬間を、リアルとフィクションのドラマかなんかが混ざって、もうどっちでもいいような感じが、確かにしたからそれはそれでいい。明日も生産をするだろう、それなりに。身の回りのものを常に減らし続けていたい。余計な言葉を、常に削除し続けていきたい。揺るぎない。翼をください。シャボン玉になって割れるまで楽しんでいたい。虹の内側、どんな風景だろう。ここにいられてよかった。