日報

あるいは遺書

りゅう

ありえないくらいハッピーハンバーグだと言いたい

ハッピーハンバーグと書かれたトートバッグを肩から下げているおばさんがいた。その魔法の言葉を唱えるだけで幸せになれる宗教的な熱狂。相槌を打ってくれるだけでありがたいし、楽しくて気の抜ける瞬間を多く経験した方が良い。平和にボケて昼下がりの洗濯、テレビの向こう側はぼくたちの部屋に侵食してくることはできない。NHKの集金のお兄さんはいい人のような気がした。いずれはNHKの番組に出演したいと考えているので、ぼくはNHKの料金を支払っている。老人しかいない電車の中で、何らかの祝福が満ち溢れていて、毎日が誕生日だったら、この上なく良いのに、そんな気持ちで毎日が過ぎてゆけば、とても充実して、とても満足して、笑顔を絶やさない、この上なく良い人生。花束を贈るよ。知らない人に。みんなどこに行くか知らないけどそれは重要なことじゃない。草や花が生えていて嬉しい。何もかも黄色っぽい白にしていく秋の日差しが風を運んで、ぼくたちは運動をしている。黙っていることにします。スポーツ選手たち、がんばれ。芸術家たち、がんばれ。ぼくたちは、頑張っている、頑張っていることは楽しいし、頑張っていることを応援されると嬉しいし、頑張っている人を応援すると楽しい。無限に広がるものを心の中に秘めて、君んちのカーテンの上で可愛い動物たちが草などを食べている。昨今の学校教育は狂っている。ぼくは学生じゃなくてよかったと思っている。ぼくはストリートチルドレン。ぼくはバンドをやっててもやってなくても自分のことを詩人だと思う。つまり、それしか能がないのだから、ある程度成熟した共同体の中でお金をください。毒の町で自分自身が毒使いになることによって毒から身を守る、それは使い古された方法。毒と友達になろうと思ったことはあるか?悲しいは楽しいしあらゆる価値を転回させるこの時間。夜明け前の海のような部屋で温かさと服の皺。夜の使者になりたいんだ、東京タワーの外側を登る、たった一人で。その影を食べるお化けの目は暗い黒、その穴に落ちていく大切なものや家族。はみ出しているよ臓物が。あまりにも生々しいものが歌になる時のぴりりとする風を感じる、東京タワーの天辺で、その赤い輝きに照らされて。ぼくは魔物を飼っているよ、君と同じようなやつを。だけど友達にはなれないだろう、仕方ないしょうがない。静かに過ぎていく誰も乗っていない電車、その中にぼくはいるし、廃村の崩れ落ちた屋根の下に君は生き埋めになっているだろう。髪の毛をなびかせて、真っ直ぐと起立している。寄せては返す波がぼくを赤ちゃんにしていく。さようなら。たくさんのものが後ろに流れていって、遠くで光るのは遠いからだけど、その輝き自体を食べる。お腹が空いていくから、毎日の中で、朝と昼と夜と夢の中で、確実に空洞がひろがっていくから。確実にプレートは動いているのだから。呼んでいる、ぼくを。群衆の輝く目、星のような寄る辺ない童話のような。浮遊する、地面が恋しいけど、空も恋しい、海だって恋しいよ。本当に帰る場所はないとしても、今夜の晩ご飯はおいしかったから、それなりに、楽しく、やっているだろう。傷痕や障害、みんな責任問題が嫌いだけど好きだ。俺は嫌いだ。子供と大人の器の差を、ノックする、間違えて叩き割る。きっと優しくしたかったんだ、あの時の俺は。空気のように流れて、街を凍りつかせる。そんな夢だよ。光の中に立っていてね。悪いことは言わないから、ちょっとは外に出た方がいい。終わらない散歩道、全てを含んでいると言っても過言ではない夕日が、焼いていく。火は綺麗だから、そして広がっていくから、きっと最後は光の中へ行けるだろう、細胞ごとこの世界に何かを刻み付ける。今頃蝉が鳴いているその理由を尋ねたい。誰に?誰でもいい。応えてほしい。彼方の帰る場所が冷たく冷やされて、日常のちょっとした温かな言葉と、煙草の煙が空に溶けていく瞬間の一瞬の記憶、それを夜の使者は持っている。真っ暗な空の中でただ一人浮遊しながら、守るべきもの、捨てるべきもの、そしてその中間、何にも属さない個体、感じられるか、届くか、理解できるか。寝顔や笑顔や手垢のついたコード進行、路上のカオナシ、道に咲いている花とか輝いているもの、当たり前に、絶対的に。食べたい。本当に全部食べてしまいたくて仕方がないよ。だけど命しか食べられないんだ。負の永久機関を内側から溶かせ、マスコットキャラクター、存在。今日はこれから、頭の中からその1ミリの彼方へ、飛ばしてく電波、真剣な電波。絶対に何かが起こっているよ。ただ静かな気持ちでいる。渦巻きの中心で僕自身が夜になる。教えて、色んなことを、色んな言葉を、風の方向を。とても楽しくて悲しい混ざり合ったさらさらの夜、降る、軌道を描いて、不規則なものや規則的な鼓動、それから目の前の風景と二重写しになるもの。アイスクリームを食べようね。ぼくはお金を持っている、少し。ラブホテルにも行こう。愛し合っている気がするなら、きっとそう。夢みたいなことを言って、いたいよ、ここに。ここにいたいよ。痛いのはここだよ。そこにあるものが全てだから。繋がるほら冷たい拙い手。窓ガラスに映る自分の姿。何を思えばいいかわからないけれど、どんな自分であっても君の価値は変わらない、永久に。君の最高級は常に固定されている、忘れないものが一つあれば認知症になってもいい。このまま破壊されながら行くぞ。剥ぎ取られながら、分解されながら、世界のあらゆるものと混ざりながら、薄くなりながら、ただ進んでいく、その先が闇でも光でも赤でも青でも。この微弱な音、聴こえる?その鋭敏さから生まれる小さな竜巻、可愛いサイクロン。頭を撫でてあげる、繰り返し。褒めて伸ばす。父性を出していく、こんなぼくでもたまには。だって、子供は嫌いだけど、子供は、人類の未来だよ。人たちの中で生きてきたし、人たちの中で自分は規定されました。巨大な鏡のような世界で、少し気味が悪いけれど、少しなんだか楽しくなって、簡単には割り切れない毎日さ。どうでもいいよ全部、ありえないことは起こるよ、起こりまくっているよ。だけど見なければいい、聞かなければいい。ハートちゃんが泣いてる。絆創膏を貼ってあげる、とっておきの可愛いやつ。美味しいもの食べたいんだ、ごめんなさい。その穴に落っこちない、わかっているから。兵士たちは地雷の場所をわかっている、直感的に。負けないぞと立つケセランパセランの小さな足、地面についているかついていないかスレスレの地平で、大丈夫なら声を上げて教えてくれ。まだ眠っている全ての美しいこと、自分の中に、そして他人の中にある、果てのない空、ジブリ的な世界観。大好きなんだよ。狭い世界で生きている、脳みその中から外に出られないから、いつも通っている道やいつも過ぎ去っていく街も、なんだかリアリティを無くしてしまう。遊びに行こうか、それとも自傷行為をして何らかの液体に浸ろうか、考えている猶予はない。ただ救われているものの声。おぼろげな形。愛している。歩いている。初めての場所、初めての旅、海を見に行こう、何度も何度も何度も何度も海を見に行こう、季節が巡るたびにそれぞれの海をいつだってどこだって。頭の中から静かに弾け飛ぶアルバイト中の予感や、まったりとした昼下がり、ハワイみたいな日差し、どっぷりと浸って自分が自分の中に合わさっていくような感じで、冷静と情熱の間を行き来していたい、いつでも。時間は過ぎるよ、針の音が愛しい。切実な声待ってます。苦しみの叫び、聴きたい、外で、中で、関係なくて、ただあるものはあってほしい。ファンタの泡、夏に感じたことや、その抜け殻や、その幽霊の季節。何年も前の。何十年も前の。過去が好きみたいだ。過去はいつでも輝いているから。未来は見据えない。期待はしていない。今が一番だと思う。でも本当は過去も現在も未来もなくて、全て化け物なんだよ。窓の外へ逃げよう。いつも探しながら歩いているから、たくさんのものが見えている。第二形態や第三形態へ、自在に変化する。いつでもどこでも偏在している。虹。男や女がいる。男と女は繋がっている。終わらない音楽はない。飛べない豚はきっと未知の生命体だ。ツチノコユニコーン。ありえないくらいハッピーハンバーグだと言いたい、その時が来たら、きっとタイミングを逃さずに、ちゃんと言いたい。覚えてくれている人、ありがとう。ぼくはまだ消えていない、この上なく不思議すぎるオカルト、それは自分自身だろう。信じたいものがある。J-POPの言葉は真実だけど、いつも真実が必要だとは限らない、特に17歳にとっては。彼らは苛々しているから、何の理由もなく、自転車をぶっ飛ばしている、立ち漕ぎをしている。風中毒なんだ。風もない道を歩けない。風が吹かないなら自殺する。もう二度と憂鬱にはなりたくないよね。ぼくはぼくの手を信じる。ぼくはぼくの足を信じる。ぼくはぼくの心臓を信じる。ちゃんと当たり前の存在でいられること。ちゃんと対話する状態でいられること。幸せという曖昧なものにすがらない。俺は幸せを食べる。ぱくぱくと、粛々と。その際にきちんといただきますを言う。食べ終わった後皿を片付ける。頑張れ、まだいける、まだ。