日報

あるいは遺書

りゅう

彼方からの手紙を抱きしめて眠りすぎの夢の中で懐かしい人とありえない会話を交わす

心地よい振動に身体の芯を合わせて流れていくそれを見ることもない。さよならには意味がなく、そこに意味を付け加えることが可能だとしても、それをただ見ているだけの人が、山の奥で風の中で。挨拶をしよう、人に会ったら。緩やかに過ぎていくものを殴る、暴行を加える。僕は犯罪者になってしまう。僕は抽象的な存在にされてしまう。他に何かないか、不安を増幅させる機械に対して、どんな言葉が生まれるだろう。言葉と言葉のイタチごっこ、終わりはない、循環、真ん中に穴。狭い箱の中に閉じ込められて、入力がないから出力もない。出番をずっと待ってるよ、眠りすぎていた。悲しい川を流れて流れまくって合体する夜に、幽霊か実体かもうわけがわからない。平凡かそうじゃないかその境目はない。イメージの相互作用なんだ、誰にも予測はできないし、君の心を読むことができれば。それにしても今日は涼しいな。苦しい車たち。愛しい隙間たち。流れていく全てがぼくは何も考えないことで全部を滅するから、何も不自由しなくてもよい、それは正しいと決めつけている。彼は首吊り台へと階段を一歩登り、それが今朝のニュースで報道されていた。司会者の顔は四角く尖り、罪は腐り果て、それでもどうにか機能しようと、僕は君の手を握る。この季節になれば、そうこの風が吹けば何もかもは蘇り、誰にも予測のつかないシュレディンガーの猫が鳴き声を上げてくれるから、僕たちにもわかることができる。幻だとしても嘘だとしても、宝物は大切だ、それを壊してはいけない。他人のことを信じてはいけない。影が伸びる、朝からもう影が、語りかける、一際大きな声で、考えることをやめるように、木の葉のざわめきと共に。最先端に乗っかって最高速で向かいます。まだ眠っている全ての人達へ、今日が素敵な一日になるように。願っています、殺しています、虫や肉を、計り知れない量を。どこかに行くのは誰のせいだ。僕は殴る蹴るの暴行を加えて犯罪者になりたくない、笑いながら河原でバーベキューなどをしていたい。言葉の雨に溶かされて自分という存在が幻なのだと知る。だとすれば、君はやはり幸せになるべきだし、夢中になれる本のページばかりをめくって季節を過ごすべきだ。教科書はもういらない。お金も少しでいいんだよ。傷跡から虹が零れたら号令がかかるから、素粒子の実体たちを掻き分けて、前に進むべきだ、その先が後ろでも死ぬな。喜びのダンスを踊ろう、無言で。息を切らして走り抜けたい、目的がなくても気にならなくなりたい。むしろ死に殴る蹴るの暴行を加えて犯罪機になる。犯罪機はこの世界の片隅に。何かの流れの一端になって消えていく、ただそれだけの彼方に向かってやっぱり僕たちは歩き続けなければいられないのだから、やりきれない気持ちをやりきることでしか生きられないのだから、生き生きとしていたい、80歳になっても。日本語で遊ぼう。かろうじて遊び続けていよう。終わりの空を眺める前にこの空白を空腹をなんとかしろ、コンビニエンスストアで少額の貨幣を使用して、また、この中で、成立していくように、行間は必要ないから、行間を埋め立ててゆけ。幽霊が車に乗っている、身体の内側から変化させられていくような恐怖。麻痺した部分と麻痺してない部分のせめぎ合いを常に感じ続けなければならないのはとても辛いことだから、麻痺してしまいたいけど、あなたの笑顔を見つめていると、なんだかのっぴきならないような気持ちになって、もっと頑張りたくなってくるよ。そうだ、夢は、覚めた。冷やされた!身体の奥から地球の向こう側まで繋がっている細い線を伝って、夜に、逃げ出して、逃げ出した先でも逃げ出して、辿り着いた場所は、こんなに深い、息もできない不快。放浪したまま、定住する影のように、薄明かりの中で微笑んでいてもいいですか、できることならバカみたいに大声を出して泣きたいけれど、これを上から眺めている名前のない自分自身にずっと監視されているから、まずは、そいつを引きずり下ろしてやりたいと思った。今日は調子がいい。今日は強迫的だ。揺れを体得して、風を読み、ありえない大切な幸せを手のひらで転がして、賞味期限の近いものは冷凍庫で凍らせて。そんな風にしてください。彼方からの手紙を抱きしめて眠りすぎの夢の中で懐かしい人物とありえない会話を交わす。アルバイトをしなくちゃ。栗拾いをしなくちゃ。それなりに楽しくやっているよ。だけど何もなくなると何もなくなったまま、真ん中の穴は埋まらない、確かに循環しているのに、もっと混ぜこぜにしてしまいたいけど、何も生まれない夜に月を眺め明日を借りて今日を消費して、制限時間内に、ちゃんとしていたいよ。まだ大丈夫だって言ってた、それが本当だとしても嘘になる時があるから、姿のことはわからない。歩いてみなよ、そんな感じで。言葉にならないことだけが最後に残るよ、残るべきだよ、そう思うよね?自殺だけはするんじゃないぞ。図書館へ行きなさい、本を10冊借りなさい。吹けば飛ぶような君の命を大切に思っているけど、何も変わらないだろう、たかが100年の時間もコントロールできやしないんだ。こんなことならいっそ神と一体化したい。変な人と思われてもいいから。土を蹴って、結婚して、その挨拶をし続けるんだ、電車は各駅に止まって、そのそれぞれに把握できないほどの人々の暮らしがあって、それを殺しても何にもならないけど、多少は気持ちが晴れるのか。だけど、気持ちが晴れても無駄だ、全ては循環しているから、またすぐに腐って、悪臭を感じ始めるだろう。独居老人の部屋のようになっていくだろう。気付かないでおくれ、むしろ。恥ずかしい姿は四角の中に閉じ込めて、閉じ込められた夕方のニュースが可哀想に喘いでいる。ビルに飛行機が突っ込むというのは、なんだか、とんでもなく象徴的だ。こんなことをする奴は人間しかいないだろう。その対極にあるのは自然災害で、そこには何のトレードマークも必要ないんだもんな、大きさが違うんだから。風呂屋で老人たちが話す。病気の話や手術の話。息子や孫たちは戦争に行ってもう帰らないのさ。あの子はやさぐれて口が悪くなった、それは知覚的防衛機構。存在感が圧倒的に濃い。色をつけるとしたら、なんだ、考えてごらん。全てはグラデーションなんだから、この花の名前も変えることができるだろう、繋がっている感覚を本当に持てるなら。実際の僕たちは隔てられている感覚の方が大きい、本当の僕たちは集団には馴染まないはずだ。だけど何でもできるぞ、全ては個別に違うから、全ては、という風に把握しようとするのはよせ。いつまでも続くものを3つあげなさい。どこまでも広がるものを7つ食べなさい。ギャグとしか思えなくなってきて虚しい。胸に帰りたい、ただその感じがすれば何もかもオッケーなのに長続きしないんだ、幸せや安心は特異点。何度も同じ事を繰り返すのはもう嫌だ。定期的に方法を変えよう。戦っていたい貫いていたい。